ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2012年5月28日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

法人の500円、82%減の287両
  大阪におけるタクシー事業の概要
    〜適正化新法の“効果”とこれから

 ことし10月で施行から丸3年を迎えるタクシー適正化新法。その“効果”をめぐっては事業再構築による減休車の進捗状況に関心が注がれがちだが、屠所の歩みで延伸を繰り返してきた運賃審査がじわじわと浸透、大阪地区で初乗り500円を採用する法人事業者は、新法施行前の26社・1622両から4社・287両と5分の1以下に激減。個人を含めても445両まで減少している。500円を含む下限割れ運賃で走る法人事業者も同様に56社・4053両から36社・1934両と、半減以上の減少を示しているが、500円継続審査の運賃査定は、ほとんどが下限割れ。新法施行前後には1年ごとの審査によって運賃は自動認可枠内に収れんされ、事実上の同一地域・同一運賃に近づくとの見方が広まったが、実際は現行法制下では下限割れは解消されないことが明らかになってきた。近畿運輸局(石津緒局長)がまとめた大阪におけるタクシー事業の概要を中心に、適正化新法の“効果”とこれからを俯瞰する。

 近運局が隔月に開いている自動車交通、自動車監査指導両部長の定例会見(5月17日)。関越自動車道で起きた高速ツアーバスの重大事故、北新地「カイゼン作戦」の“抜き打ち実施”問題はじめ、種々の話題が取り上げられたが、ある意味、最もインパクトがあったのは、資料配付のみで特に説明されなかった「大阪におけるタクシー事業の概要」(平成24年3月31日)だった。
 特に目を引いたのは、低額運賃の認可状況で、初乗り500円の「法人事業者数4、車両数287」という数字だ。新法施行当時、運賃審査の厳格化で、「1年後には無くなるのでは」との見方もあった500円運賃は、1カ月ごとの延伸を繰り返し、毎度毎度の定例会見で今後の見通しを質された自交部長が、「できるだけ早期に」などと答えるのが定番になっていたが、法施行から2年半、恒久認可の3社を除いて、ついに残り1社となった。

法人の500円は難しい
 法施行直前、21年9月30日現在の集計と比較してみると、事業者数は26社→4社、車両数は1622両→287両という激変で、5分の1以下に減少している。「強制力がない」適正化新法とはいえ、改めてこの間の推移を見ると、一定以上の効果が示されたといえる。いったん値上げ査定を受け入れた上で、再度500円での認可を申請しているケースも複数社あるが、過去の会見で澤井俊・自交部長は、「法人の500円(認可)は難しい」との感想を述べており、認可の可能性は極めて低い。
 500円を含む下限割れ運賃を採用している法人事業者も56社→36社、車両数は4053両→1934両と、こちらの車両数も半減以上の落ち込みとなっている。この中には、自動認可枠の縮小で下限割れに転じた恒久認可の事業者や、査定に従って500円から580円や590円に値上げした事業者が含まれる。
 1年ごとの審査で自動認可枠内に収れんされていく―との見方もあり、1巡目で値上げを余儀なくされた事業者の中には2巡目の審査に強い警戒感を抱く向きも少なくないようだが、現実には杞憂に終わりそうな気配だ。

1巡目は「軒並み値上げ」だったが…
 5月17日の会見で澤井部長は、2巡目に入った継続審査について、査定に従って努力した事業者は利益が出ているとし、値上げ査定が続いた1巡目とは「ちょっと雰囲気が変わると思う」との所見を述べた。
 「今、2巡目の審査を行っていて感じるのは、1巡目の審査というのは、もともと各事業者がやられていた運賃を申請されて、それに対して査定を行った。2巡目というのは、一回審査して、『こういう運賃でなければダメだ』と改められた運賃で1年間なり商売をしていただいた成果というか、結果を持ち込んでくるわけで、2巡目の審査というのは1巡目とは違うなと感じている。1巡目の審査では軒並み引き上げる方に査定が出たが、2巡目は一度引き上げた運賃でやってもらったわけだから、各事業者の業績が、非常に出る感じだ。その運賃で、一所懸命頑張っていただいたところは、それで儲けが出ているし、そうでもないところは、それでも赤字が出るという感じで、いろいろバラツキが出るという印象だ」。
 現行の運賃制度では、下限割れは解消されないとの見通しを示したものと言えるだろう。

低運賃と安全は無関係
 この日の会見では、運賃をめぐって、関越道の高速ツアーバス事故との関連でも言及された。
 低運賃と安全運行の関係について見解を求められた竹内哲也・自動車監査指導部長は、「低運賃にかかわりなく、輸送の安全確保はすべての事業者の責務。運賃は関係ない」と回答。これは予想された公式回答と言えようか。
 会見終盤に自らこの問題に触れた澤井部長は、「今回の事故と運賃の問題を結びつけるのは、必ずしも良いことだとは思わない。というのは、安いから安全じゃなくても仕方がないという論法、なんとなくそういうことを言わんとする雰囲気を感じるが、安いから安全でなくても良いという論法は、世の中に通用しない。テレビだって、これだけ安売り競争をしているが、ボンと爆発していい、安いから仕方がないなんて言う人はいない。食品スーパーだって安売り競争をしている。だからといって食中毒を起こしていいとか、腐った惣菜を売っていいとかいうことはないわけで、安ければ品質が悪くてもいい、特に安全にかかわる問題が劣悪でも仕方がないという風潮は、やはり良くない。安売りは、安全にかかわる投資を行った上で行うべきで、それは最低のルールだ」と述べた。
 ツアーバス事故で問題にされているのは、旅行業者の発注額や3500円という運賃の安さで、そのことが安全確保の面に影響を及ぼしたのではないかということで、「安いから安全でなくても良い」という論法ではないと思うのだが…。一定レベルの運賃でなければ安全は確保できないという論法には与しない、安全確保に問題がなければ低運賃でも結構―ということか。
 過当競争と安全の関連について、再度問われた澤井部長は、「安いから管理できなかった、あるいは安いからシートベルトは壊れたままにしていた、実態はそうかもしれないが、それは許される話ではないということを申し上げたい。それは言い訳にはならない。(今回のツアーバス事業者は)本来、競争のスタートラインに立ってはいけない人だった」と指摘。消費者が「安いから安全性に問題があるのではないか」と考えるのは良いが、「私が心配しているのは、事業者がそれに甘えてはいけないということ。もうちょっと安全にもお金をかけなければいけないという風潮は良いことだが、事業者がそれを逆手にとって、『ウチは安いんだから、少々安全に手を抜いてもいいだろうと、言い訳に使うのは大間違いだということだ」と説明した。
 少々のやり取りはあったが、現段階で、今回のツアーバス事故がタクシー運賃のあり方をめぐる論議に影響を及ぼすことはないということか。

雲散霧消の5・5遠割撤廃問題
 さて、初乗り500円とともに、規制緩和の“光”の部分と称されたこともある5000円超分5割の遠距離割引。こちらは法人177社・1万1972両、個人2384両の計1万4356両が採用しており、一般タクシーの73.8%、法人では76.4%、大阪市域に限れば90%近くが採用して、スタンダード化している。
 大阪タクシー協会の藤原悟朗会長が、会長選出馬に際して「撤廃」を掲げ、交運労協系の各労組も春闘要求に組み込むなど、大阪の運賃問題の最重要課題というような位置付けすら感じられたものだが、精力的に開かれた(?)労使懇談会の議論は停滞。設問方法に疑義はあったにせよ、乗務員の80%が廃止・緩和を支持した5・5遠割は、率先して撤廃に動く事業者もなく、労使懇自体、3カ月ぶりとなった昨年末の会合と忘年会を最後に開かれることもなくなった。
 先の乗務員意識調査では、5・5遠割の廃止・緩和に対する賛成意見として、「運転者の負担が大きい、生活苦」「遠距離割引をしてもお客様が増えたと思わない」「割引率が大き過ぎて売上が上がらない、儲からない」「遠くへ行けば行くほど労働対価が減り、帰路の時間的ロスも大きい」「5000円までのお客様と、5000円以上のお客様で、受けられるサービスに差がありすぎる」―などが並んだ。
 反対意見は、「不景気でお客様が減少しているので、遠距離割引を廃止すると、タクシー利用が減少する」「制度が定着しており、利用者の理解を得られるとは思わない」「ワンコイン等の安いタクシーが多くあり、対抗できなくなる」など。
 回答者の約8割が5・5遠割の廃止・緩和に賛成し、廃止によって売上が下がるとの予測は13.3%にとどまった。一気に議論が活発化するかと期待する向きもあっただろうが、「大阪府内の全事業者が、5000円超・5割引を廃止または撤廃すること」を前提条件とした問いかけに、「実情を反映しない前提条件で、意味がない」との指摘があり、調査結果自体が宙に浮いた格好で終わった観がある。
 加えて、ことし2月には近運局が未来都の5・5遠割を認可した。申請から8カ月を要したのは同社の初乗り運賃が大阪地区の上限660円でなく、下限の640円であるからか。同社は平成19年末にそれまでの550円から、当時の下限だった590円に値上げ、その後、縮小された自動認可枠下限の640円に最値上げしているが、5・5遠割は採用していなかった。
 5・5遠割の申請は、スタンダード化した大阪地域で、利用者に説明する必要もあり、そのやり取りの中でトラブルがあってはいけないという現場乗務員の要請を受けたもので、2月21日から実施に移された。大阪市域で700両を超える車両が新たに5・5遠割を採用、しかも初乗り運賃は20円安い640円。十分過ぎる衝撃と言えよう。

事業計画が象徴する限界
 4月1日付で一般社団法人に移行した大タ協は、経営委員会の新年度事業計画に「企業経営の安定、労働条件の改善及び良質運転者の確保を図るため、適時適切な本運賃の改定や過度な割引、下限割れ運賃の是正など運賃制度のあり方について検討する」と謳っている。黒田司郎・経営委員長はより踏み込んだ表現を模索したとも伝えられるが、当たり障りのない表現に落ち着いたことが、今後の取り組みの限界を象徴していると言えようか。

規制緩和以前の車両数を下回る
 さて、運賃はこれくらいにして、適正化新法のもう一方の眼目である需給問題に移る。大阪における一般タクシー車両数の推移を見ると、規制緩和直前の14年1月末時点で1万5252両だった法人タクシーは、新規参入と増車で3000両以上増えた。この間に個人タクシーが769両減少しており、合計の供給増は2236両。
 その後、適正化新法施行に伴う特定地域指定、適正車両数の設定と事業再構築(減休車)への自主的な取り組みが求められ、減少が続く個人タクシーが341両と合わせて2845両の減少となった。24年3月末現在の法個合わせた車両数は1万9521両と2万両を割り込み、規制緩和直前の2万130両を609両下回っている。供給量自体は規制緩和前の水準に戻っているわけだ。

それでは運送収入は?
 このところの大阪市域の輸送実績の推移を見ると、基本的に平均日車営収は増収基調を維持しており、一定の減休車効果がうかがえる。では、規制緩和前の平成14年1月実績と、24年1月実績を比べてみるとどうか? 平均日車営収は14年の3万2419円に対し、24年は2万9268円で、3151円の減収となっている。
 改めて言うまでもなく、タクシー需要の減少が背景にある。適正化新法下での増車には、新たな輸送需要の発生が求められるが、すでに需要が縮小傾向にあった中で断行されたのが14年2月の規制緩和だ。新たなサービス展開で需要を喚起するという狙いがあったかもしれないが、花開いたサービスは運賃に特化され、縮小するパイの奪い合いに終始することになる。
 新法は適正化と活性化が柱だが、即効性が期待し難いこともあり、各地の特定地域の議論は事業再構築(減休車)による適正化に傾いた。自主減休車による近畿管内18地区における進捗状況を見ると、大阪市域をはじめ7地区では、事業再構築実施後の車両数が、3段階で示された適正車両数の範囲に収まっている。大阪市域の基準車両数に対する削減率は18.6%。目安とされた「20%」の目標には達していないが、“非協力事業者”の存在などを考えると、協調・協力の賜物であるのは間違いない。

終盤迎えた対面調査
 とはいえ、事業再構築は適正車両数の達成が目的ではない。供給過剰の解消による事業経営、および労働環境の改善につながらなければ意味がなく、活性化の実践とともに、さらなる適正化の努力が必要というのが行政当局の基本認識だ。そのための、“非協力事業者”の対面調査は、定例会見が行われた5月17日時点で京都が終了、大阪は市域で残り4社、和歌山は残り2社。「鋭意、調査中」の兵庫、滋賀、奈良の3県については、「夏頃に終了の見通し」と説明された。
 事業者側の取り組みの遅れが見られるのが奈良で、「大都市などと事情が違うので、同じように考えてほしくない」という業界内の意見について、澤井部長は前回3月の会見で、供給過剰であるから皆で減車に取り組もうという地域指定の趣旨に反すると指摘。「県全体で非協力事業者になるのかと、問い返したい」と述べた。
 このセリフが利いたのか、利かなかったのか、その後の約2カ月間で減車10両、休車8両(奈良市域)の上積みがあった。これにより同地区の削減率は3.7%から8.1%に上昇したが、適正車両数への枠内へは、あと33両の削減が必要。経営・労働環境の改善には、さらに…?というのが現実だ。今後のテコ入れについて澤井部長は、「減休車は自主的に取り組んでいただくもので、タマは事業者・事業者団体側にある」と、さらなる対応に期待を寄せた。
 減休車の「協力要請」で近運局と競ってきた観のある(?)関東運輸局は、東京都特別区・武三地区について、すでに2巡目の対面調査を明言しており、「乾いた雑巾を絞るようなもの」と、いささか刺激的な表現で、さらなる取り組みを促している。近運局は今のところ、1巡した後の対応には言及していないが、11地区については適正車両数の最も低いハードルさえ超えられない状況で、改善が求められるのは間違いのないところ。
 話を大阪市域に戻すと、適正車両数の上限、1万3500両に対し、事業再構築実施後の車両数は1万3299両で、その差201両。経営・労働環境の改善につながるか否かは別にして、現段階で具体的に示された最も厳しい数値である適正車両数の下限、1万2000両へは、さらに1299両の削減が必要だ。これは、今回の事業再構築による削減(減休車)車両数2023両の約65%に相当する。つまり、これまでに10両削減した事業者が、さらに6両以上身を切らなければ、1万2000両は達成できない計算になる。いくら行政当局から「協力」を求められたとしても、簡単には頷けない。まして、「非協力」の事業者がいるではないか。
 こうなると行政当局などは、「自主的な取り組み」を盾に“非協力”を貫く事業者にも、「公平性」を盾に上積みを拒否する事業者にも、手の出しようがなく、適正化新法の限界が改めてクローズアップされてくる。

特定地域「再指定」で適正化のハードルが…
 そこで、全タク連、傘下の大タ協など業界主流が早期成立を働きかけるタクシー事業法の登場となる。免許制を復活し、運賃と需給調整を更新に絡ませる仕組みは、適正化新法の穴を塞ぐに十分な武装ぶりと言えそうだが、政局は混迷の極にあって、先行きの見通しは立たず、“早期”の成立はおぼつかない。一方で、適正化新法による特定地域指定はことし9月末で期限切れ。近畿管内18地区のうち、第一次で指定された大阪市域など15地区がこれに該当する。10月以降の再指定、指定期間などについては、「本省の方針待ち」(5月定例会見で澤井部長)だが、澤井部長自身「例えば、大阪市域における18.6%削減の効果を無にしてはいけないとは誰しも思うであろうし、私もそう思う」(同会見)、「京都については今6247両ということで、適正車両数(5900両〜6640両)の枠に収まり、もちろんこれで十分というわけではないが、一定の成果はあがっていると思っている。今後どうなるかは分からないが、これまでの取り組みによる成果、効果を失うようではいけないと考えており、本省の方にもその旨は伝えている」(京乗協総会での来賓あいさつ)との認識を繰り返しており、再指定が現実的だろう。
 再指定となれば、適正車両数が直近の数値を基に改めて算定されることになるのは確実で、自動認可枠の縮小で新たな下限割れが発生したのと同様に、“適正”の枠からはじき出される地域が続出するのも確実だろう。強制力が伴わないとはいえ、再指定に際して「協力要請」の新たなツールが打ち出されるのか否か。適正化への道は厳しい。
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No444. 5月28日号 ニュースヘッドライン
■巻頭人物     :伊藤 宏氏/神奈川県タクシー協会会長
■気になる数字  :23万人→480万人/平成17年の国交省通達で急拡大した高速ツアーバス利用者
■トピックス:法人の500円、82%減の287両に/大阪のタクシー事業適正化、現状とこれから
         :適正化新法の「志」を完遂/東旅協・通常総会開く
         :<スポット> 日の丸交通がUDタクシー導入
         :新会長にグリーンキャブ・高野社長/関無協・通常総会
         :新会長に伊藤副会長/神タ協・通常総会
        :課題山積の中「最後のご奉公」/京乗協は牧村会長留任
         :紛糾、混迷の末に…/大タ協・理事推薦問題〜解決はしたけれど
        :まず言葉遣いから始めよう/「感謝」と「苦情」の激しい落差
■東西往来
        :来る人にも去る人にも共通の「志」/何ごとも「備えあれば憂いなし」
■この人この言葉
        :高野 公秀氏、木村 忠義氏、牛島 憲人氏、安居 早苗氏
■シャッターチャンス  :無線団体の舵取りを左右する?/業界の盛衰知るバロメーター?
                 :この際、推薦基準を策定するか/愛煙家「最後の砦」も今は昔
<内外交差点> 想定外を想定する  樽澤功氏@
<続大阪タクシー産業盛衰記> 岡本頼幸氏を偲んで   増田和幸氏に聞く
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交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
行き詰まり打開して志遂げる
    タクシー事業法の早期成立を訴え
      東旅協・通常総会で富田会長

【 東京 】東京乗用旅客自動車協会(富田昌孝会長)は25日、千代田区のホテルニューオータニで平成24年度通常総会を開いた。23年度事業報告、同収支決算報告・監査報告のほか、24年度事業計画案、三宅島地区会員への会費免除を含む新年度収支予算案、一般社団法人化に向けての新定款案などを審議、タクシー適正化新法の下での減休車進行状況や、タクシー事業法案に関する質問等はなく、全議案を原案通り承認した。富田会長や来賓のあいさつでもゴールデンウィーク中の関越自動車道における高速ツアーバスの死傷事故に言及する場面が目立った。

〜高速ツアーバス事故の影響で懸念も
 川鍋一朗副会長の開会の辞で、総会はスタート。続いて冒頭のあいさつに立った富田会長は高速ツアーバスの事故に言及し、その中で事故の背景に供給過剰の進行と過度な運賃競争の存在を指摘するとともに、一般マスコミ報道の論調の変化にも言及した。また、事故後の国土交通省や与党の反応にも触れて「民主党の前原誠司・政調会長の発言は『バス、タクシーの規制緩和の見直しを法改正も含めて検討する』というもので、この考え方はわれわれと軌を一にするもので、心強く受けとめている」とし、「行き過ぎた規制緩和を見直すという方向性はバス、タクシーに大きな違いがあるはずもなく、理解が拡がっていることは歓迎」とした。
 一方で、バス、タクシーの規制緩和見直しが意味することは、両事業を所管する道路運送法を一括して改正する可能性があることを指摘し、「われわれが与党議連とともに作り上げたタクシー事業法案が宙に浮きかねない。バス問題で振り出しに戻る可能性も否定できない。こうした事態は最悪ではないが、最善でもない」として、懸念を表明した。その上で富田会長は、タクシー適正化新法の理念に改めて触れて「与野党全会一致で、乗務員の賃金・労働条件改善を目指そうとしたこの法律の志は尊く、評価しなければならない。行き詰りを打開して志を遂げるには、タクシー事業法が必要だ」と訴えた。
 最後に富田会長は、今年がタクシー事業100周年に当たることにも言及し、「100年の最高のプレゼントはタクシー事業法だと、これまでも政官界にお願いしてきた。夢の実現の一歩手前まできたが、消費税法案をめぐり、国会では与野党の駆け引きが続いているが、大幅な会期延長の可能性もある。8月5日のタクシーの日にタク事業法が成立しているかどうかは『神のみぞ知る』だが、最後まであきらめず努力を惜しまない者にのみ道は開かれると信じている」として、会員事業者から地元議員らへの働きかけの一層の強化を呼びかけた。
 議事では平成23年度事業報告、同収支決算報告・監査報告の後、平成24年度事業計画案、三宅島地区会員の会費免除を織り込んだ平成24年度収支予算案、一般社団法人化に向けての新定款案(新団体名称=一般社団法人 東京ハイヤー・タクシー協会)、一般社団法人化に向けての公益目的支出計画案について審議、すべて原案通り承認した。
 来賓では関東運輸局、警視庁、東京労働局の幹部が祝辞を述べた。神谷俊広・関東運輸局長はその中で関越道での高速ツアーバスの事故に触れ、「公共輸送機関にとって、安全こそが原点だ。タクシーでも昨年秋にJR横須賀線列車への衝突事故などが起きており、安全マネジメントへの取り組みをはじめ、運行管理の徹底を改めてお願いする」などと述べた。閉会の辞は岡田佑副会長が述べた。
〔5月26日関東版掲載〕  <バックナンバー一覧へもどる>

2012年5月26日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】行き詰まり打開して志遂げる/タクシー事業法の早期成立を訴え/東旅協・通常総会で富田会長
【 東京 】全無線グループに参加呼びかけ/配車アプリ「検討会」6月発足へ
【 東京 】東京無縁・川村理事長が参加表明
【 新潟 】新潟審判、労使一体で支援/交通労連信越支部・五十嵐部会長
【 横浜 】個タクの譲渡譲受153件認可
【 東京 】夏休み前の実行念頭に/ツアーバスの安全対策で津川政務官
【 東京 】ユニバーサルドライバー研修/全福協が初の講師養成講座
【 東京 】LPG車生産継続の要望書/全国LPガス協会等がトヨタに
【 東京 】KPU・神奈川地連に1単組加盟/目黒書記長「現場最優先の活動を」
【 横浜 】「NV200」NY仕様を展示/日産本社ギャラリーで29日から
 
2012年5月25日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】譲渡譲受継続へ働きかけ強化/「自交両党は前向き回答」/都個協・理事会で木村会長が報告
【 東京 】財務省政務官が改善申し入れ/貸切バスの安全確保で国交省に
【 新潟 】過当競争強いる制度は改めるべき/新潟知事「運賃競争で安全疎かに」
【 東京 】日の丸交通がUDタク導入
【 横浜 】神タ協新会長に伊藤副会長/協調と融和、結束を呼びかけ
【 東京 】東旅協城西支部にイースタン系6社
【 東京 】第一、グリーンキャブが参加/ユニクロ「クールビズ」発表会
【 東京 】第20回KLUフェスティバル
【 東京 】6月12日に初の合同研修会/東京無線・チェッカー合同委
【 東京 】規制緩和、根本から見直しを/私鉄ハイタク協等が要請
【 東京 】労働6団体組織の継続を/齊藤・事務局長が強調
【 さいたま 】全自交埼玉地連が再建大会/日交労大宮支部を中核に
 
2012年5月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】スマホ配車アプリ共同開発へ/チェッカーGの呼びかけに呼応/大和自交・中央無線、準大手3社も
【 東京 】次期会長に坂本克己氏/全自無連、役員体制を一新へ
【 東京 】運賃制度、監査体制など指摘/毎日新聞がバス事故クローズアップ
【 東京 】新潟事件の審判開始/事業者側は当局の指導を強調
【 前橋 】全面デジタル化に国の支援を/関無協・通常総会
【 東京 】LPG車の製造継続を要請/都スタ協・通常総会
【 東京 】大震災、基本法などテーマに/交運労協が24、25日に政策研究集会
【 東京 】全国で9万2000局超に/デジタルタク無線導入状況
【 東京 】大和自交・連結決算
【 福岡 】第一交通産業・連結決算
【 東京 】チケット換金の負担ゼロに/日幸、15日から実施
【 東京 】4月のグリーン経営認証
 
2012年5月19日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】規制強化の新制度、実効性に疑問/早期移行に期待も、強制力なく/衆院・国土交通委、ツアーバス事故で参考人承知
【 東京 】バス協などからヒアリング/民主党国交・厚労合同部門会議
【 東京 】当局の指導に問題なし/新潟問題で中田局長答弁
【 東京 】増車却下の取り消し求め提訴/ロイヤルリムジン
【 横浜 】神タ協・横浜支部、新支部長に太田氏
【 東京 】新社長に坂本篤史氏/実用興業、坂本社長は会長に
【 横浜 】関運局管内・4月輸送実績/15地区中12地区が2桁増収
【 東京 】事務局は交通労連東ハイ労に/東京ハイタク労働6団体
 
2012年5月18日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「利便性は安全性確立の後」と訴え/ツアーバス事故とタク事業法の関連で/全タク連・正副会長会議、富田会長「追い風にも逆風にも」
【 東京 】前田国交相、バス業界に安全対策要請
【 東京 】7月にも大和本社内に移転へ/中央無線配車センター
【 横浜 】関運局、6月に「事業用自動車安全対策会議」/貸切バス、個タク問題を検討
【 前橋 】新会長にグリーンキャブ・高野社長/関無協総会、藤本会長勇退
【 東京 】バス問題と切り離して審議を/タク事業法巡り全自交・伊藤委員長
【 新潟 】新潟事業者に希望の審決例/運賃カルテル、東大・白石教授が示唆
【 横浜 】タク事業法の早期成立に期待/東旅協三多摩支部・総会
【 東京 】東京交通共済・次期役員候補
 
2012年5月16日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】事前チェック強化には消極姿勢/自主的な安全確保を誘導へ/前田国交相、国民ニーズに合ったバス輸送の発展を
【 東京 】公共交通の安全対策強化/国交省・検討チームが初会合
【 東京 】自交総連が緊急要請へ
【 札幌 】札幌エムケイの増車申請却下
【 東京 】経営危機突破全国統一行動/全タク連はタク事業法も訴え
【 東京 】日経がタク事業法案を批判/「規制改革に逆行の恐れ」と
【 東京 】私鉄ハイタク協が離脱も/ハイタク労働6団体
【 東京 】最終報告書、発表の見通し立たず/国交省・賃金システム懇談会
【 東京 】日立自交、5回目のUD研修会
【 さいたま 】全自交埼玉、19日に再建大会
【 横浜 】車両停止は法人8社、個人2者/関運局、4月のハイタク処分
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Faxpress 関西版
兵タ協、吉川執行部が発足
    副会長は皆見、信原、青田の3氏

【 神戸 】兵庫県タクシー協会(皆見房雄・会長代行)は25日、神戸市中央区の生田神社会館で通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選で新会長に満場一致で吉川紀興氏(西神交通社長)を選任した。
 総会では、来年度移行予定の一般社団法人の定款、公益目的支出計画、平成23年度事業報告書、同収支決算報告書など全議案を原案通り承認。注目の理事、監事の改選も5月定例理事・役員会で承認された新理事候補33人(既報)と常勤理事1人(清水信生専務)、監事も員外監事(須賀本利孝氏)含む3人を原案通り承認した。

〜松本氏は2年後を視野に!?
 理事就任を受けて挙手した松本奈良雄氏(御影第一取締役会長)は、皆見・会長代行に謝意を述べた後、「やっと夢(理事復帰)が正夢になった。これも神戸第一交通をはじめ各社の応援の賜物と御礼申し上げる。理事になった以上は、もう一度原点に戻って職務に務めてまいりたい。会長選については、人間急ぐ時もあればゆっくり考えないといけない時もあるので、今期は(出馬を)見送る。2年間勉強させてもらい、その勉強の結果によってまた出る機会があると思うので、よろしくお願いする」とあいさつした。
 新理事選任後別室で行われた第1回理事・役員会では、互選により満場一致で吉川氏を新会長に選任。副会長には皆見(国際興業大阪副社長)、信原智彦(荒井タクシー社長)、青田嘉之(扇弘タクシー社長)の3氏、常勤理事の清水氏が専務理事に選任された。
 吉川新会長は、「全員の推薦で会長に選任された。心新たに頑張らなくてはならないと思っている」とし、松本前会長、皆見・会長代行に謝意を述べた。その上で、「前会長の時は規制緩和の時代、これからの私の(任期の)2年は激動というか、需給調整の流れの中でタクシー事業法の問題、これはやらないといけないと思っている。そんな中で無理を言うこともあるが、皆さんと手を携えていかなければならない。会員の皆さんは『安心・安全』のためにコンプライアンスの下で頑張っていただきたい。協会としては会員に安心を与えるように努力していきたい。会員の安心が協会の繁栄だと思っている。いろいろと論議もしないといけないが、今までの知識と経験を生かしつつ、本日選ばれたスタッフ一同、格闘、権力闘争をしている場合ではない。企業が存続できるかどうかという時代になっているので、皆が手をつなぎ心ひとつにして、会長職を全うする決意だ」とあいさつした。
 副会長の皆見氏は、「この2年間、吉川会長を助けて精一杯やりたい」、信原氏は「2年間松本会長の下でいろいろ勉強させていただいた。昨年あのような形で辞任され、皆見・会長代行には大変ご苦労をかけ、副会長としてフォローしたつもりだが十分ではなかったと思う。吉川新会長で新しい船出となったが、私は副会長として2期目となるので前回の経験を十分生かし、会長のフォローをしていきたい」、青田氏は「兵協からぜひ副会長を出してほしいということで、私以外に適任の方がおられたが(辞退されたので)消去法で私になった。先輩の皆見、信原・両副会長にご指導いただいて、頑張っていきたい」とあいさつした。
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2012年5月26日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 神戸 】兵タ協、吉川執行部が発足/副会長は皆見、信原、青田の3氏
【 大阪 】デジタルタク無線「断固として推進」/近無協・通常総会で坂本会長
【 大阪 】犯罪防止等で表彰/ヤサカ無線協組から4人
【 大阪 】親交会と同協組が通常総会
【 神戸 】神戸・阪神間支部長に枝松氏
【 大阪 】「新視令V」フル活用へ/関協、管理者説明会など
【 大阪 】高齢乗務員の勤務時間制限など/近運局、地域協幹事会に「議論の叩き台」
【 大阪 】町野委員「何ができるのか検討を」
【 大阪 】大タ協、29日は42人参加へ/北新地、今度は合同街頭指導
【 大阪 】G・T、イエローキャブが合併申請
 
2012年5月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】北新地、初の自主街頭指導に約80人/業界+タクセン「自浄作用」証明へ一歩
【 大阪 】加重罰取消訴訟、控訴審始まる
【 京都 】エムケイが提訴検討/札幌エムケイの増車却下
【 京都 】京都の減休車「一定の成果」/京乗協総会で澤井・自交部長
【 京都 】夏山(京都西交通)の加盟承認/京乗協、非加盟は9社・184両
【 大阪 】「あのタイミングしかなかった」/大タ協理事辞任の牛島氏
【 大阪 】適齢診断のこまめな利用など/高齢乗務員対策で近運局分析官
【 大阪 】大タ協、事務局理事の推薦も説明
【 大阪 】全大個協組・石倉理事長退任へ
【 京都 】「餞別金制度」見直しへ/京都市個人が第三者委員会
【 大阪 】大阪で講演も事業法に言及なし/吉田おさむ・副国交相
【 大阪 】無事故・無違反目指して/今年もチャレンジコンテスト
 
2012年5月23日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】運転者の質的規制深める議論を/大阪地域協・町野委員、幹事会前に「定年制」に異議
【 京都 】京乗協、牧村会長再任/業界歴55年「最後のご奉公」
【 大阪 】理事資格の検討巡り加熱/大タ協、総務委報告でも議論
【 大阪 】新規許可申請却下、国側全面勝訴/大阪地裁、佐野南海訴訟判決
【 京都 】京乗協の理事・監事一覧
【 大阪 】悪質駐車取り締まり月間/大阪府警、今年も6月実施
【 大阪 】低運賃アンドンに規制を/繁華街「一人勝ち」で
【 大阪 】「権力機関の違法処分放置するな」/壽タクシー・浦木山社長
【 神戸 】伊丹産業がLPガス車を出展/エコ&セーフティ神戸
 
2012年5月19日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】会員理事定数42で最終決着/大タ協理事会、理事推薦基準票は319票に
【 大阪 】自主街頭指導に参加呼びかけ
【 大阪 】修理代+補助金返還/EVタクシー、事故に注意
【 大阪 】民主党府連にタク事業法で要請/大阪交運労協ハイタク部会
【 大阪 】関協理事会、自主街頭指導に協力を
【 大阪 】プリウスPHVの導入検討/ふれ愛交通、燃費効率を評価
【 大阪 】「ともに成長させていく事業」/大阪福祉タク総合配車センター
【 京都 】禁煙シンポで業界の取り組み報告/京乗協・北川経営委員長が26日
【 大阪 】新金岡交通、代取変更
【 大阪 】大阪新生、住所変更
【 大阪 】近運局、2社を車停処分
 
2012年5月18日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪の500円、法人は287両/近運局定例会見、適正化新法施行で82%の激減
【 神戸 】兵タ協、吉川新会長「当確」/理事会で皆見・会長代行が推薦
【 大阪 】「自浄作用」発揮へ23日に集結/事業者団体の第1回自主街頭指導
【 大阪 】奈良市域で減休車18両上積み/澤井部長「タマは事業者側に」
【 大阪 】規制緩和の是正、揃って提唱/危機突破統一行動で与野党議員
【 神戸 】ゑび須タクシーが兵タ協退会
【 大阪 】大ト協副会長に東陽運輸G・松元代表
【 神戸 】伊丹産業がLPガス車出展/神戸でビジネス・サミット
 
2012年5月16日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】運輸産業労使のかまどに火を/燃料高騰による経営危機突破/全国統一行動、近畿は2000人
【 札幌 】札幌エムケイの増車申請却下
【 大阪 】大タ協、会員理事定数見直し?/理事推薦委、事前公表に「緘口令」
【 大阪 】自主的街頭指導で強力要請へ/大タ協・交通安全委
【 大阪 】大タ協、御堂筋フェスタでPR/正副会長も揃って参加
【 大阪 】大運支局、4月の苦情は49件
【 神戸 】神戸・阪神間2万6134円/4.3%増収、兵タ協・2月輸送実績
【 神戸 】神戸で譲渡譲受相次ぐ
【 大阪 】大阪3社を民主党国会議員と訪問/ワンコイン協会、事業法反対で
【 大阪 】通学路のタクシーに注意要請/茨木市「スピード抑えて」
【 東京 】個タクの禁煙率、近畿は77.5%/全個協集計、全国平均90.3%
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