【 東京 】タクシー適正化新法成立で、特定地域に指定された場合には、営業方法の制限命令などによって供給輸送力削減の執行力が高まるとされている。輸送力削減の目標や削減方法などを盛り込む特定地域計画の合意要件については現在、国土交通省で策定作業中のガイドラインに盛り込まれるものとされているが、衆参両院での附帯決議に沿って改正適正化新法の条文に記載された「地域の法人・個人タクシーの総台数の３分の２の同意」に加えて、大手、中小、個人のカテゴリー別にそれぞれの過半数を要することになるもようだ。
　附帯決議には特定地域計画作成に際しての合意要件として「保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーごとに車両台数シェアを等しくした基準を設定することとし、これを周知・指導すること」とされている。記載の字句・文言にどこまで厳密に沿うかにもよるが、現在国交省で検討されている方向性としては、�@関係自治体の長がすべて合意していること�A特定地域計画の作成に合意した事業者が特定地域内に配置するタクシー車両の台数の合計が、当該特定地域の営業所に配されるタクシー車両の総台数（法個合計台数）の３分の２以上であること�B協議会の構成員である関係行政機関がすべて合意していること―を必要条件とした上で、さらに大手事業者、中小事業者、個人タクシー事業者のカテゴリーごとにそれぞれの区分の中で「計画の作成に合意した事業者が特定地域内に配置する車両の台数の合計が、過半数以上であること」となるようだ。�@〜�Bの要件に加えて、これらカテゴリーごとの合意のすべてを満たした場合にのみ特定地域計画を認可することになる。
　大手と中小で削減率に格差を設けることが附帯決議に盛り込まれており、それを前提に考えると、法律の条文中の合意要件だけでも高かったハードルが一段と高くなり、特定地域において供給過剰解消に向けて今よりも成果をあげることは相当困難と予想され、業界中堅事業者の中にも「大手と中小、さらには個人タクシーが折り合えるような合意は事実上不可能であり、需給問題での進展は見込めないのではないか」との見方が早くも出ている。
〔11月30日関東版掲載〕　 <バックナンバー一覧へもどる>

【 大阪 】関西国際空港タクシー運営協議会（古知愛一郎会長）は29日、大阪府泉佐野市のホテルスターゲイトホテル関西エアポートで平成24年度通常総会を開いた。関空の利用者はＬＣＣの乗り入れ・拡張などで増加しているものの、鉄道やバスなど他の公共交通機関が充実していることもあり、顕著な需要増にはつながっていないが、計画中のＬＣＣ専用第３ターミナルへの乗り場設置に向けて古知会長は、「関空施設内のタクシー利用は運営協議会が担うという決意で臨む」との意欲を示した。昨年４月末に導入された「関空定額運賃」については、大阪市北区行きの月間運行回数が約200回など「堅調に推移している」と報告された。前和歌山県タクシー協会会長の岩橋正典氏（有田交通社長）が相談役に就任した。
　空港専用タクシーの車両数は今期も変化がなく、大阪関係13社・44両、和歌山関係４社・５両の計17社・49両。１日の平均実働車両数は30〜36両。「関空定額運賃」の月間平均運行回数は、大阪市北区行きが203回、同中央区行き158回、合計361回となっている。

〜古知会長「輸送秩序を一手に」
　古知会長は、「適切な需要に応えるだけの専用車、ポイント免許車で輸送の一翼を担っている」としたほか、見学に訪れたセントレア空港（愛知）や成田空港の事業者から「白タク行為などの違法営業がほとんど行われていない」点を高く評価されていることも紹介。「空港島という連絡橋を利用しなければ出入りできない特殊な環境など、さまざまな条件もあるが、やはり当協議会が乗り場・待機場の確保というタクシーの輸送秩序を一手に担っているからこのような状況になっている」と自負を見せた。
　来賓として、近畿運輸局の西川孝秀・旅客第二課長、大阪運輸支局の竹内哲也支局長、藤本和往・首席運輸企画専門官、和歌山運輸支局の谷口潤・首席運輸企画専門官、大タ協の井田信雄・常務理事が出席。竹内支局長が代表して祝辞を述べた。
〔11月30日関西版掲載〕<バックナンバー一覧へもどる>