ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2014年2月3日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

「最後のチャンス」もはかなく消えた?
  にわかに高まった5・5遠割廃止論議
    当局の訴訟リスク回避で事実上終息へ…

 4月1日からの公定幅運賃導入に伴い、にわかに高まったかに見えた大阪業界の5000円超分5割引廃止論議は、今月5日の「準特定地域協議会」初会合での公定幅提案を待たずして潰えたようだ。1月27日に公表された国土交通省の改正適正化新法等関係3法の運用通達(同24日付)で、各地方運輸局長に委ねられるはずだった遠距離割引の「基準額」設定が見送られた。パブリックコメントを募集した通達案(昨年12月7日公示)にあった規定を取りやめた理由について同省は、訴訟のリスク回避だと認めている。開戦を前にしてUターンしたような東京の弱腰に、早くも新法の実効性を懸念する声が上がっている。

藤原会長の公約
 5・5遠割の撤廃・修正は藤原悟朗・大タ協会長の公約であり、最終的に投票は回避されたものの、それをもって会長に就任したわけで、大阪のほとんどの事業者も、現場の乗務員も5・5遠割を廃止してもらいたかったのだろう。その思いは未だに変わっておらず、労使懇談会で必ずといっていいほど議題に上る。
 ただ、5・5遠割の「創始者」である大タ協最高顧問の薬師寺薫氏が、藤原執行部が当初の経営委員会などで5・5遠割撤廃・修正議論を具体的に進めようとアンケート調査などを試みた際には、「遠割を廃止してどれだけ乗務員の賃金が上がるのか」「遠割を廃止すれば、たまにしかない5000円以上の遠距離利用客もいなくなる」―といった持論を展開。その後、新潟業界の運賃値上げに関するカルテル被疑事件が浮上して、独禁法抵触を警戒するあまり、踏み込んだ議論ができなくなったこともあり、このテーマは静かにテーブルから降ろされてしまった経緯がある。
 薬師寺氏が「5・5遠割撤廃のデメリット」に触れる限り、少なくとも薬師寺が率いる関西中央グループは5・5遠割を撤廃する気はないということが明確になり(薬師寺氏が必要ないと判断して自主的に撤廃した北摂2社は5・5遠割を採用していないが)、そうなると同グループが多数を占める関協も5・5遠割を撤廃し難い環境となる。
 大タ協の会長はじめ、他の理事も全員ではないが多くは5・5遠割を廃止したくとも、薬師寺氏がいる限りこの議論は進まないし、進めたところで実現性の乏しい机上の空論に過ぎなくなる。昨年6月21日にその年2回目の労使懇が開かれたが、薬師寺氏が欠席したため、このメーンテーマは議論できなかった。それでも労組幹部は、この問題の「壁」となっている薬師寺氏との直接交渉を果敢に試みた。
 8月5日に開かれた、薬師寺氏と大阪交運労協ハイタク部会の代表6人による非公開の懇談会がそれで、労組側の参加者は最終的に、阪本均・ハイタク部会事務局長(私鉄関西ハイタク労連書記長、阪急タクシー労組委員長)、加藤直人・副部会長(全自交大阪地連委員長、全相互タクシー労組委員長)、前田善満・副部会長(私鉄関西ハイタク協議会、山陽交通労組委員長)、宮田幸次幹事(私鉄関西ハイタク労連、水鉄タクシー労組)、権藤輝雄幹事(全自交大阪地連書記長)、阪急タクシー労組執行委員の岡崎良徳・財政部長―の6氏で交通労連系の参加はなかった。
 労働側は、薬師寺氏が大タ協会長経験者でもあり、その後の歴代会長の「キングメーカー」であり、業界に与える影響力が強く、かつ5・5遠割導入の「張本人」であるとして、藤原会長がマニフェストの筆頭に掲げた5・5遠割撤廃がなぜできないのか、またなぜ率先して廃止しないのか―と迫った。

まず外堀から埋める?
 薬師寺氏は、遠割導入の背景は「三菱(現未来都)、ワンコイン対策」であり、今も低運賃は残っているとし、またワンコイン対策にも取り組んだものの、大タ協を挙げての取り組みにならなかった経過なども説明。さらに一事業者に過ぎず、大タ協でも現在は最高顧問といえども、あくまで執行部は藤原会長を中心としており、労働側から執行部に働きかけるべきであり、城攻めの作戦として外堀から順番に埋めていくように、まずはワンコインがいない郡部から5・5遠割外しを実施する取り組みで進めるしかないのではとの意見を述べ、それも労組が主導してやるべきだとした。
 参加した労組側からは「直接、本音の議論ができて有意義だった。他の事業者は議論さえしない。今回限りでなく今後も定期的な直接懇談に期待する」と評価するものの、結局何ら具体的な進展は見られず、「いつまでも遠割を外せば客が減る、客が減れば売上が減って給料が減ると理由をつけて外さないなら、会社の営業政策的に遠割を外さないわけで、労働者としてそれは仕方ないとして、次は割引を続けるなら会社がその分負担せよという訴えをするしかない。いつまでも乗務員にばかり負担を押し付ける事業者の姿勢を改めさせなければならない」といった感想が聞かれた。
 そうした中、改正適正化新法が成立し、公定幅運賃制度によって下限割れ運賃が一掃されるという期待が膨らんだ。かつての三菱タクシーが未来都となり自動認可運賃に入ったとはいえ、低運賃タクシーはまだ残っており、それが存在する限り、またそこが「低運賃プラス」の形で5・5遠割を採用している以上、大タ協事業者だけが率先して5・5遠割を外すわけにはいかないという大前提が変わる可能性が出てきたわけだ。

公定幅運賃への移行
 今月5日の準特定地域協議会に近運局は、大阪地区の公定幅運賃について、具体的な数字をあげて提案する見通しだった。公定幅運賃への移行で下限割れ運賃は変更命令の対象となっており、最終的に基本運賃はすべて公定幅に収まるとされている。具体的な提示額は、現在の自動認可運賃(中型660円〜640円の3段階)に消費増税分の3%を単純転嫁したものになるだろうと思われる。しかしながら、実際にその通りになるのか、また、自動認可運賃の世界から公定幅運賃の世界に変わるとはいえ、恒久認可の下限割れ事業者が当局の指示通り修正に応じるのかどうか。不透明な要素も残る。つまりは、実際に低運賃が消滅しなければ5・5遠割も撤廃とはならないだろう。
 そこで大タ協や労働団体が模索していたのが、公定幅運賃実施と同時に遠割をなくしてしまおうという作戦だ。それも運輸当局の「5・5遠割を認めない」という指導の下にだ。割引運賃自体が「公定幅」の対象から外れたのは計算違いだったとも言えるが、昨年12月に公示、パブリックコメントを募集(1月19日締切)した国交省の通達案では、公定幅運賃の対象とならない遠距離割引について、「地方運輸局長が地域の状況等に応じて定めた金額に相当する距離以上において公定幅運賃の下限を下回るものについて認可する」とされていた。

「最後のチャンス」に賭ける
 近畿運輸局長が「7000円」なり「9000円」の金額を設定した場合、「5000円超分5割引」は個別審査の対象にならず、期間限定の事業者は期間の満了とともに、「7000円超分3割引」なり「9000円超分1割引」なりで新たに申請して審査を受けるしかなく、5・5遠割存続の途は閉ざされるはずだった。もともと、大阪地区で圧倒的多数を占める恒久認可事業者については、「過去の認可を取り消す仕組みがない」(近運局旅客第二課)ため、存続・廃止あるいは見直しの判断は個々の事業者に委ねられることになり、現状と何ら変わらないとの見方が強かったのは事実。ただ、「基準額」について近運局幹部は非公式に「5000円はない」との見通しを示し、大タ協は「9000円」での線引きを申し入れるなど、公定幅運賃導入を廃止に向けた「最後のチャンス」と捉えた動きが水面下を含めて活発化し、期待感が高まっていた。
 ひとつの課題は標準処理期間(6カ月)の問題。遠割ゼロなら4月1日に間に合わすことができるが、「9000円超分1割引」や「7000円超分3割引」への移行なら、いくら早くても現段階ですでに認可は夏頃にずれ込み、公定幅運賃の実施から数カ月ずれてしまい、メーターを2回改造するという手間と金がかかってしまうという悩ましいことが想定された。「超法規的にやってもらえないか」という大タ協の陳情に、近運局は「超法規」は無理でも「迅速に」と応じていたようだが… 。

近運局の「大岡裁き」を
 1月22日に行われた大阪交運労協・ハイタク部会(園田龍一部会長)の近運局交渉では、全自交関西地連の塚本新二委員長が、「京都の運賃改定では大手が突然申請を取り上げ、崩壊状態になったものを、(実体のない運改を認可して)4月1日の公定幅運賃導入に合わせて実施するという判断を下した。逆に言えば『行政は何でもできる』ということだ。大阪のほとんどと京都の3割が実施している5・5遠割を撤廃させることでも、『大岡裁き』のような近運局の大英断を見せてもらいたい」と期待した。
 訴えの背景について塚本氏は、「今回の京都の運賃改定では1乗車54円ぐらいの増収があったとして20回の利用回数で1乗務1000円ぐらい。ところが5・5遠割をこのチャンスに撤廃しないと1000円の増収があっても2万円で7500円が吹っ飛んでしまう」との問題点を指摘し、京阪神から大挙60人ほどで詰めかけた労組幹部の拍手を集めた。
 また、同日夕刻に開かれた大タ協の労使懇談会で足立堅治・専務理事は、「5000円超分5割引の廃止は藤原会長の公約でもあり、とにかく廃止したい。17日開催の経営委員会でも廃止する方向で進んでいる。ただ(チケット、無線等)協同組合があるので、それぞれの意向を聴くということで段取りを進めている。遠割については通達案で近運局長が(割引の)ラインを決めるということなので、大タ協としてはできるだけ『遠いところ』ということで9000円超分1割引を目指してお願いをしているが、『5・5は(市場に)定着している』という意見もあり、どの程度になるか見えていない。ただ新法の趣旨から言えば、どう考えても5・5はない。7・3か8・2か9・1という、5・5より上のラインで決まると思う。しかし5・5を止める際に、ゼロにすれば審査の必要がないが、9・1などの修正では厳格査定で6カ月の標準処理期間が必要になる。そうなれば4月1日の公定幅運賃以降になり、メーター改造を2回することになってしまう。これを4月1日にスムーズに間に合わせるようにしてもらいたいと話している」と議題を提案した。

「7・3」なら行ける?
 薬師寺氏は、「労組は5・5遠割廃止一本槍だが、廃止したら2乗務に1回ぐらいの長距離利用者がゼロになる。(廃止に)反対はしないが、スタンダード化したものを廃止するなら対利用者の“クッション材”としてとりあえず7・3ぐらいに修正した方が良いのでは」との見方を示し、「5・5はない。9・1は難しいとしても、中を取って7・3は行けるのでは」との強力な実現性を感じ取った事業者もいた。
 「7・3」であっても「9・1」であっても、「超法規的な処分」でなければ実現しないことは同じで、課題は残したままとはいえ、一歩前進を期待させたわけだが、それからわずか5日後の1月27日、膨らんだ期待が一気に萎む現実に直面することになる。
 この日公表されたタクシー適正化新法等関係3法の運用通達(24日付)で、各地方運輸局長の裁量に委ねられるはずだった遠距離割引の「基準額」の設定が見送られることが明らかになったのだ。

近運局の「線引き」消える
 公表された運用通達「公定幅運賃の範囲の指定方法等について」では、遠距離割引等の取扱いについて、「原価計算対象事業者の総利用者数の2分の1以上の利用者が対象となるもの」を基本運賃または基本運賃に準ずる運賃として公定幅運賃の対象とし、これ以外の割引運賃については「道路運送法第9条の3第1項に基づき、地方運輸局長の認可を受けなければならない」と規定している。遠割が公定幅運賃の対象外であることには変わりがなく、地方運輸局長による「線引き」が抜け落ちた。
 要するに、公定幅運賃導入後も、5・5遠割は個別審査の対象となり、期間限定で認可を得ている事業者についても、事実上、継続が認められる方向が固まったと言える。
 パブリックコメントの募集を経ての変化について国交省旅客課は、「反対意見が多かったのか」との本紙の問いに、「そうではない。訴訟になった場合、設定した基準額について合理的に説明することが難しい」とコメントした。要は訴訟リスクの回避。土壇場で腰が引けたというわけだ。
 かくして、「このチャンスを生かせ」とばかりに期待した業界労使の「夢」は打ち砕かれた。昨年末の段階で基準額について、「5000円はないだろう」と語っていた近運局担当者は「一定の線引きがなくなったからといって、皆さんの遠割是正ムードが消えないことを願う。今後もぜひ努力は続けてほしい。そうでなければ今までの努力がムダになってしまう」とのコメントをした。これはどう受け止めれば良いのか?
 要は自主的に5・5遠割を廃止申請すれば順次なくせるし、それが雪崩れのように続けば、当局が外圧をかけかくても廃止はできるのだから、そのようにしなさいということか?すでにある中堅事業者は他社が追随しようがしまいが5・5遠割は撤廃すると乗務員にも宣言しているとの情報もある。
 一方で、もともと5・5遠割を採用していない日本城タクシー(大阪市住之江区)の坂本篤紀社長は、「運賃や距離で利用者を分けるのはやめなければならない」という発想から、「5000円以上を5割引にするのは明らかに差別運賃だ。早く廃止すべきだ」と指摘している。
 大半が5・5遠割を採用している中で先に外せば、利用者がいなくなるだけでなく、その結果乗務員がいなくなってしまうというのが自主的な廃止に踏み切れない事業者のジレンマだが、5・5遠割はないのに乗務員も離れず、利用者もいるから当然運営できている事業者が厳然と存在することを何と考えているのだろうか?

「500円」「5・5」ゆえのアピール度
 しかし原点に帰れば、薬師寺氏やワンコイン事業者が指摘するように、かつての三菱運賃だけでなく、表面上は見えない割引の存在があり、その対抗策で出てきた5・5遠割。500円運賃が550円であってはインパクトがなく、500円硬貨1枚で乗れるタクシー、安さの象徴「ワンコイン」というところに意味があったように、5000円超分5割引=半値というところにインパクトがあった。しかも5000円も利用する乗客は全体の3%いるかいないかで、「この3%のリスクを取って」アピールしたのが5・5遠割ではなかったか?これが7・3になれば事業者も乗務員もある程度納得できるかもしれないが、消費増税も相俟って確実に利用者がタクシー離れを起こす可能性は否定できない。

事業者自身の考えで
 また、心情的にもかつては一大ブームを巻き起こした5・5遠割を「悪の権化」のようにした廃止運動には、創始者を馬鹿にするのも良い加減にしろと言いたいところだろう。護送船団のように「皆で歩調を合わせて」という他人任せはやめにして、「事業者も乗務員も望んでいる。利用者にはしっかり納得していただけるよう説明をする」と自信を持って廃止すれば、心ある乗務員は他社に走ったりしないだろうし、逆に5・5スタート時の逆転現象で乗務員が集まって来るかもしれない。
5・5遠割の創始者とすれば、「何かを起こすならそれぐらいの心意気を示せよ」という思いもまたあるかもしれない。その前に、「大岡裁き」を期待された当局が、「こちらに責任を持ってこられても」と地域協議会の委員から外れたのと同様に戦場から退避したと取れなくもない。
 今週に迫った大阪府下の準特定地域合同地域協議会―。当局が訴訟のリスク回避で5・5遠割の線引きを回避したことで、公表される公定幅運賃についても、恒久認可の下限割れ運賃は残る可能性が結構出てきたのではないかという雰囲気が感じられたりもするのだが…。
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No.523 2月3日号 主な内容
■巻頭人物  :菅原信一氏(kmホールディングス社長)
気になる数字:6万5757人/東京都特区・武三地区の平成24年度法人タクシー乗務員証交付数

トピックス:「最後のチャンス」もはかなく消えた? 〜5・5遠割廃止論議は終息へ…

:観光タクシーの可能性を探る 〜活性化の成否握る「観光」の“いま
:ターゲットは外国人観光客 〜大阪で官民挙げて「インターナショナルタクシー」
:<特集>2014年春闘―産別・労組はいま 〜交通労連ハイタク部会
:「急ぐ」から「ゆっくり」へ 〜三和交通「タートルタクシー」
:全大個協会傘下2団体が50周年 〜大阪個タク連合会&住吉個タク協会
:志摩イズムを受け継ぐ 〜小社代表取締役会長・志摩哲二社葬
東西往来:「タクシー運転免許」構想幕開けの年?/地下鉄に客呼ぶJKキャラ
この人/この言葉
:阿部武氏、城政利氏、福来孝志氏、大城武一氏
シャッターチャンス
:新法で効果上がれば運賃値下げ/労働力確保に乗務員養成学校?
:現場は賃率の引き下げで攻防中/目指せ交通事故死「永遠の0」
■アラカルト
:<連載第51回> 多田清社長殿創業史―「相互十年」を読む
:<内外交差点> これからの労組と産別  茨木不尽彦氏@
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 「10%追加減車」など論外
    輸送力削減は適正車両数の上限まで
      国交省通達、特定地域計画認可基準

【 東京 】国土交通省は1月24日、改正タクシー適正化新法施行に伴う「特定地域計画の認可基準」を定め、自動車局長名で各地方運輸局長に通達した。特定地域では追加減車等による供給輸送力削減のあり方が注目されてきたが、通達によると認可基準の中で「輸送力削減は最大で適正車両数の上限の台数(幅の中で多い方の台数)まで」とされており、事実上大幅な輸送力削減の上積みは求めないことがほぼ確定した。
 新法における特定地域では、設置された協議会の合意に基づき特定地域計画を策定、地方運輸局に申請し、認可を受けることになっている(標準処理期間は原則3カ月)。認可特定地域計画に基づき、事業者が個々の輸送力削減の目標や方法を盛り込んだ事業者計画を立案する。
 特定地域計画には、地域の供給輸送力削減の目標、輸送力削減の方法、実施時期などを記載する。当該特定地域で削減すべきタクシー事業の供給輸送力も記載されることになるが、これについては「地方運輸局長が公示する当該地域において適正と考えられる車両数、その他必要な書類等を勘案し、当該地域内の事業用自動車の総台数が適正車両数の上限に至らない台数、または概ね上限の車両数となるよう定めること」とされている。
 例えば、東京都特別区・武三交通圏では現行の適正車両数は21.9%〜30.6%の供給過剰とされているため、この21.9%を上回る追加的輸送力削減を計画に盛り込むことはできない。昨夏から業界に流布された「追加10%減車」などは到底実施できないことになる。ただし、適正車両数は地方運輸局長が公示するとされており、現行の適正車両数を継続して使用するか否かなどによって違った結果になる可能性は残っている。
 こうした基準の設定は、独占禁止法との関係を背景に「輸送力削減は地域の公共交通機関としての機能を十分に発揮させるための適切な供給量とするため、必要最小限度のものとする」ということになる。また、特定地域計画において営業方法の制限により輸送力削減を行う場合は「協議会の構成員による確認や事業者同士が相互に確認ができる体制の構築等について、具体的な方法を記載する」とされている。
 認可基準には国交大臣告示の「基本方針」との整合性を求めた条項も設けられており「輸送力削減に当たっては、改正適正化新法附則8条の規定に基づき、改正前の適正化新法に基づいて行われた減休車の実績が勘案され、当該地域におけるタクシー事業者間の適正かつ公平な輸送力削減が設定されていることを確認する」となっている。
〔2月1日号関東版掲載〕  <バックナンバー一覧へもどる>

2014年2月1日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「10%追加減車」など論外/輸送力削減は適正車両数の上限まで/国交省通達、特定地域計画認可基準
【 東京 】乖離大きい事業者を優先処理も/国交省、運賃変更命令の手順示す
【 東京 】削減率は大手・中小「一律」も/国交省GL、地域協の判断で
【【 東京 】「実効性ある改正法に」/自交総連、3月6日に中央行動
【 横浜 】小幅中心に、15地区中11地区増収/関運局管内・12月の原計輸送実績
【 横浜 】東洋労組・菊池委員長を除名処分に/私鉄東ハイ労・中央委
【 静岡 】震災被害へ積極支援を提案/全自交労連・中央委討議
 
2014年1月31日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「公定幅」は現行「上・下限」のまま/消費税3%分上乗せして公示へ/国交省通達、値上げには7割ルール適用
【 東京 】加算運賃は距離短縮で/消費税転嫁の取り扱い
【 横浜 】国として求められる役割「積極的に」/新地域協への関与で原・関運局長
【 福岡 】九運局が控訴断念/最高乗務距離規制訴訟
【 東京 】ブタンは50ドル下げ/LPG2月CP、先物相場やや上昇
【 東京 】新たに「追突防止と後方確認の徹底」/交通共済、26年度の事故防止対策
【 東京 】「法・個同一運賃」で対応/東個労・新春のつどい
 
2014年1月29日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】基準車両数は「新法施行日」に/「輸送力増強の余地」あれば新規・増車も/準特定地域の適正化で国交省通達
【 東京 】特定地域の指定基準は先送り
【 東京 】タクシー新法の運用通達公表
【 新潟 】公取委審決に「特段の配慮」求める/業界労使の要請受けて新潟県・市
【 東京 】死亡事故は5件から2件に減少/交通共済協組・25年度事故集計
【 東京 】実用興業などを会長表彰/全日本交通安全協会
【 東京 】ライオン交通労組が脱退/私鉄東ハイ労が決定通知送付
【 静岡 】附帯決議を生かした春闘に/全自交・第90回中央委
【 横浜 】ゆっくりタクシーが好調/三和交通Gの“かめタク
【 東京 】国交省人事(1月28日付)
【 東京 】EVグリーン化事業で公募
 
2014年1月25日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】協議会の開催是非は会長権限に/現行の枠組み維持、任意加入等の規定追加/特区・武三の地域協設置要綱改正
【 東京 】「供給過剰」の表現を一部変更/タク新法の政省令・告示公布
【 東京 】現行特定地域を「準特」指定/全国155地域、例外なく
【 東京 】リッター9円近くの下げに?/2月のLPG国内価格試算
【 東京 】東京の地域協への委員参加を/全自交東京など3産別が要請
【 東京 】阿部会長「利用者ニーズに的確に」/ダットサン研究会・賀詞交歓会
【 東京 】長期目標立てて事故削減/日個連都営協・理事会
【 東京 】法改正を無にしない取り組みを/交通労連ハイタク部会・中央委
【 東京 】利用者感謝キャンペーン抽選会/全個協関東支部&都個協
 
2014年1月24日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】控訴審は国側が逆転勝利/地域全体の供給過剰に着目が法の趣旨/東京高裁判決、ロイヤルリムジン増車訴訟
【 東京 】2月6日から観光タク認定研修/東タク協、60人規模で10回開催へ
【 東京 】特定・準特で一定枠確保/都個協、減少分の補充制度要望へ
【 東京 】訪日外国人2000万人目標/東京五輪に向け対応強化
【 東京 】公取委事務総長に中島局長/後任の経済取引局長は松尾氏
【 東京 】原発「乗車拒否」問題で指導徹底
【 東京 】新法と附帯決議の厳格な履行を/ハイタクフォーラムが国会請願へ
【 東京 】全自交労連/1月28・29日に中央委
【 東京 】「運用」は30社・1032局増加/全国のデジタルタク12月末現在
【 東京 】好調なUD研修を報告/全福協、自家用有償運送で注文も
【 東京 】新東京ドライバーズが登録/12月のグリーン経営認証
【 訃報 】小山弘之氏(新日本交通会長)22日死去。90歳
 
2014年1月22日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「いますぐ配車」を実現/「オール東京」目指してスタート/「スマホdeタッくん」6グループ・9200両
【 東京 】あす23日、注目の控訴審判決/ロイヤルリムジンの増車訴訟
【 東京 】新規許可再開に期待/都個協賀詞交歓会で木村会長
【 東京 】羽田、品川の優良乗り場/運用開始、羽田では式典も
【 東京 】特定地域の指定基準で意見/自交総連、新法の実効性担保を
【 東京 】ハイヤーの定義等で国交省と意見交換/東タク協・ハイヤー委員会
【 東京 】日車営収の伸び、ほぼ止まる/東タク協・12月の原計輸送実績
【 東京 】西東京市と災害援助協定/三幸自動車など5社
【 東京 】ワイエム交通・青空会/会長に壱岐氏
【 東京 】タクセン、都内交通地図販売中
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■ 大阪駅北ビル「EV乗り場」厳しい現状
    急速充電器、3月撤去〜使用限定で国庫補助なく

【 大阪 】EVおよびHV車限定で運用されているJR大阪駅ノースゲートビル・タクシー乗り場の急速充電器が3月にも撤去されることになった。当時の橋下徹・大阪府知事(現大阪市長)の肝煎りで始まった「大阪EVアクションプログラム」の一環で設置された専用乗り場は、ほとんどその役割を失うことになる。助成事業で導入された32事業者・50両のEVタクシーのうち、個人事業者の1両は当人が亡くなるなど、現在は大阪タクシー協会加盟社の31社・48両。3年間の助成期間満了を前に行ったアンケートでは撤退の意思を示している事業者もあり、新年度以降はさらに限定的な運行になりそうだ。
 急速充電器の撤去は1月31日、大阪市淀川区のJR西日本近畿統括本部で開かれた同乗り場連絡協議会で、アクションプログラムの中核を担ってきた兼松(下嶋政幸社長、本社・東京都港区)が宣言した。同社はこれまで、EV用充電インフラ事業の立ち上げに取り組むべくプロジェクトチーム「VOLTA」(ボルタ)を組織し、充電器の利用にかかる認証・課金および予約制御等のシステム開発を進めてきた。撤去理由について同社は、乗り場の急速充電が入構を許可されたタクシーに使用が限定されるため、国の補助金が得られないため―としており、当初は昨年3月時点で撤去する方針を示していたが、JR側の説得で先送りされてきた。撤去時期は「3月下旬」とされ、この日の会議でJR側も「具体的な日程が決まり次第、報告する」とし、事実上、撤去が決まった。
 乗り場につながる同ビル西館の百貨店「JR大阪三越伊勢丹」は開業以来の赤字で売り場面積を約6割に縮小、東館の専門店街と一体運営することが先日、発表されたばかり。
 当初、EV専用でスタートした乗り場は、利用客が少ないために入構が進まず、「待機車両がいない」とのクレームにつながる悪循環に陥り、HV車両にも枠を広げることで1日50両程度の乗り入れを確保しているが、大阪駅の1日乗降客は約41万人(平成24年)とされ、隣接乗り場としては寂しい数字に終始している。急速充電器の撤去方針に業界側は反発しているが、「実質的にノースゲートビルのEVタクシー乗り場は終わった」と見られても仕方がないところだ。
〔2月1日関西版掲載〕<バックナンバー一覧へもどる>

2014年2月1日号 関西版 ニュースヘッドライン

【 大阪 】大阪駅北ビル「EV乗り場」厳しい現状/急速充電器、3月撤去〜使用限定で国庫補助なく

【 東京 】特定指定でも京阪神は減車なし?/国交省通達、特定地域計画認可基準
【 大阪 】ベストタクシーGが地域協参加/団体未加盟、450両規模
【 和歌山 】需要拡大抜きに未来はない/和歌山準特協議会
【 大津 】滋賀の準特協議会は14日に/会長候補に立命・近藤教授
【 大阪 】タクシー新法に実効性を/自交大阪・京都・和歌山
【 大阪 】事業者として改善策の検討を/「5・5遠割」で交友会・後藤理事長
【 神戸 】神戸空港タクが入構/北鈴蘭台駅で神鉄タクと攻防
【 大阪 】敷島交通、本社営業所移転を申請
【 大阪 】近運局・行政処分
 
2014年1月31日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】設置要綱、会長人事で一部に異論も/大阪は2月5日、初会合から波乱含みの準特協議会
【 東京 】10円単位で3%上乗せ/消費税転嫁で国交省通達
【 大阪 】協議会参加に意欲/壽タクシー・浦木山社長
【 大阪 】線引きないが「運動はやめないで」?/5・5遠割廃止めぐって近運局
【 大阪 】利用者向けのチラシ最終決定/大阪駅乗り場問題で大タ協
【 大阪 】違反の事業者に注意文書/北新地実態調査で大運支局
【 大阪 】2月14日、指導主任者研修会
【 和歌山 】公定幅運賃の公示案を提示/和歌山市域・準特協議会
【 大阪 】賃率引き下げの動き広がる/消費増税の影響など懸念
【 大阪 】行政処分基準、時間管理など/大運支局で指導講習

【 大阪 】住吉個タク協会が結成50周年

【 京都 】京都マラソン「さらっと下見」/弥栄自動車がコース案内
 
2014年1月29日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】近運局長の“線引き”なしに/5・5遠割、期間限定事業者も存続の可能性
【 東京 】基準車両数は「新法施行日」に/準特定地域の適正化で国交省通達
【 京都 】運輸局は「公定幅」との整合性を/割引運賃の取り扱いめぐって
【 和歌山 】「和歌山おもてなしタクシー大作戦」/4月運行開始へ官民でスタート
【 大阪 】親交会が定例会と新年会/5・5遠割是正は今がチャンス
【 大阪 】協力と団結の50周年式典/大阪個人タクシー連合会
【 大阪 】大阪市域3万3413円、3.8%増/大タ協・12月実績、実働率75.6%
【 京都 】公定幅運賃で質の競争へ/京都市個人・全体集会
【 大阪 】警告聞かずに鳩の餌付け/タクセン・12月の苦情申告
【 大阪 】乗客の寸借詐欺に要注意/大タ協、防犯速報で周知徹底
 
2014年1月25日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】外国人専用乗り場と観光タクシー/インターナショナルタクシー、大阪で官民挙げて27年度創設へ
【 大阪 】「指導2回」で行政処分へ/「公定幅の下限割れ」で近運局
【 東京 】現行特定地域、丸ごと「準特定地域」に/国交省指定、近畿の18地域など
【 和歌山 】専務理事が支部長を訴えへ/和タ協、「公金横領等と誹謗中傷
【 京都 】京都の運改、法人59%で終結
【 京都 】エムケイ、深夜早朝割増廃止を申請
【 大阪 】大阪駅乗り場問題のPRチラシ/大タ協が労働側にサンプル提示
【 大阪 】公定幅運賃等の理解求める決起集会/労使懇で労働側が開催提案
【 大阪 】地域協委員の「制限」要望/労働側委員が実効性に疑義
【 神戸 】兵庫の新地域協、2月10日に 大阪 】事故防止意識が定着/10周年迎える花菱タクシー
【 大津 】春闘統一要求の実現性に疑義も/私鉄関西ハイタク協・討論集会
【 大阪 】女子マラソンで通行規制、26日
【 神戸 】銀星3両→ポート、譲渡譲受申請
【 京都・神戸 】日本交通、特定大型距離制運賃廃止
 
2014年1月24日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】5・5遠割「とにかく廃止したい」/大タ協、労使懇で基本スタンス
【 大阪 】「英断」再び、5・5遠割でも/大阪交運労協が近運局交渉
【 大阪 】遠割見直しなら「7・3」で/関西中央G・薬師寺代表が見解
【 神戸 】2月10日に地域協開催/兵タ協理事・役員会
【 大阪 】地域協の会長権限強化に反対/ワンコインタクシー協会
【 大阪 】2月12日に春闘研修会/交通労連関西地総
【 大阪 】きょう第二弾の18社認可/京都市域の運賃改定で近運局
【 大阪 】関協理事会、配車システムなど議論
【 大阪 】スマホ配車本格運用へ着々/全大個協組、ヘイローは4月以降
【 大阪 】譲渡譲受試験合格者59人集め/全大個協会が事前説明会
 
2014年1月22日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】5・5遠割「修正」は時間切れ/大タ協、完全撤廃なら」4月1日に間に合うが…
【 奈良 】京大・藤井教授が会長に就任へ/2月4日開催、奈良の合同地域協
【 大阪 】「全国配車タクシー」でも電子決済/国際興業大阪がサービス開始
【 神戸 】デジタル化低利融資の活用を/東阪神タクシー協組
【 東京 】2月CPは大幅下落か/先物相場下落で見通し
【 神戸 】職場討論集会で春闘スタート/私鉄関西ハイタク労連
【 大阪 】今年は1月31日に「怒りの行動」/自交大阪、規制緩和から12年
【 大阪 】監査インセンティブ適用/2月5日に安マネセミナー
【 大阪 】賃率引き下げ巡り対立/南大阪交通労組、一部が先鋭化
【 大阪 】特定地域の指定基準等で要請へ/近畿交運労協ハイタク部会
【 大阪 】タクセンの外国語講座/新年度は初級編・実践編で
【 大阪 】事故防止につながる指導・教育/近運局が2月14日にセミナー
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