ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2015年5月25日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信
「闘う東タク協」川鍋会長2期目へ―
  未来につながるビジネスモデルを
     消費税10%で、一気に運賃制度改革

 昨年5月、東京ハイヤー・タクシー協会の通常総会が開催され、富田昌孝前会長が退任、川鍋一朗・日本交通社長が新会長に就任した。富田氏が任期1年を残しての辞任だったため、川鍋会長の1期目の任期は1年。早くもその1年が経過し、通常の任期満了による役員改選期を迎えた。若さゆえの行動力とスピード感で新たな支持を生み出すとともに、業界内の一部には軋轢も生み出しているとされる川鍋会長。「闘う東タク協」を標榜する川鍋会長に2期目の所信と覚悟を聞いた。(聞き手=植村俊郎)

―東タク協会長就任から1年を振り返ってのご感想と、これまでの事務局改革などを含むご自身の成果についてどのように評価されているかをお伺いしたい。
川鍋 変革のスピードという意味では理想の半分でしたが、私自身が日本交通に入社した当時の改革に比べれば倍の速さで進んでいるかもしれません。協会事務局職員も結構、改革作業に付き合ってくれているという印象はあります。日交の時は、私が毎日出社している中であったのに対して、東タク協では毎日出ていたわけではありませんし、そうした中で事務局の皆さんも変わろうと努力してくれている。
 座席のレイアウト変更のように簡単に目に見えるものもありましたし、もう一段の改革を進めたい。すでにご承知のことと思いますが、専務理事や常務理事の席も一般職員の島の中に入って、それぞれに出身省庁の分野にこだわらず、「みんなで、マルチタスクでがんばろう」と言っています。そういう体質がみんなの体質として染み付いてくれば、もっと改革は進んでいくと思います。強いて採点すれば、51点といったところでしょうか(笑)。
―一般論としては及第点というのは60点なんですが?

変革のスピードは半年遅れ

川鍋 そうですね(笑)。49点の減点分は何かと言えば、職員の皆さんも方向性としては思った方に向いてくれているんですが、スピード感はやはりまだ足りないと思っているので。私の中ではすべての変革のスピードは半年遅れています。「そんなスピードで良いのか」という思いが拭いきれません。
 何かを変えようとするとき、「じゃあ、じっくり検討して1年後にスタートして、3年後に結果を出す」というようなやり方で良いのか?「民」の感覚としてはまだまだ遅すぎる。一般社団法人だけど、100%民間企業の会費収入で成り立っているものですから、完全に民間企業というつもりの感覚で仕事に取り組んでほしいと思っているんです。それは常日頃から言っていることであり、それに対する反発がないわけではないんですが、協会はタクシー運賃730円からの分け前で生きているんだということは忘れてはいけないと思っています。
―2期目の執行部発足に当たり、8日の理事会では現職副会長留任の方針を発表されました。副会長、専門委員長の選任の考え方、人選の基準などをお聞かせください。

適材適所、実を取る人事
川鍋 基本的にはその分野を担当するに当たって、いわゆる「流れ」とかではなくて、実質的に動ける人を、「花」よりも「実」を取る人事をということですね。なった人に花がないという意味ではないんですが、現時点の役職から何となく「次はあの人だよね」というのが見えてくることがあると思うんですが、そういうことだけではなくて、人物本位でということは常々考えています。
―副会長については、定数に対して欠員があったと思いますが、その点については?
川鍋 いまのところ現状のままでいいと思っています。
―専門委員長については従来、委員会ごとの担当副会長から推薦されていましたが、いま会長がおっしゃったような基準に基づいて推薦してほしいということでしょうか。
川鍋 そうですね。現在の役職やいわゆる「流れ」をすべて無視しろということではないのですが、加えて適材適所ということを加味して選んでほしいとは言っています。
―理事会でも一部言及がありましたが、2期目の政策課題についてお聞かせください。

より具体的な結果がほしい
川鍋 私自身、活性化への関心が非常に強いので、活性化につながるような、しかも、より具体的な結果を、たとえ小粒でも良いから結果をたくさん出したいんです。
 8月5日の「タクシーの日」もガラッと模様替えしたいと思っていますし、理事会でも触れた結婚・子育て支援信託の話でも口先だけのアドバルーンではなく、リアルな結果を出したいと思っているんです。繰り返しになりますが、小さくても未来につながる結果がほしい。2〜3年前からの動きとしては観光タクシーの取り組みがありますが、これも着実に関心を持ち、やってみようという人が増えている。新卒採用プロジェクトも確実に結果を残したいし、加えて今後は女性の採用にも力を入れていきたいと思っています。まだ、時間はありますが、当然オリンピック・パラリンピックに向けた策も練りたい。

2017年の消費税10%時に運賃制度改革の「最適解」を
 さらに、2017年には消費税増税が待っていますから、その時には燃料サーチャージ、初乗り距離短縮、そして運賃改定をミックスして最適解を見つけたい―という大仕事も待っています。
―国交省の新しいタクシーのあり方検討会に参加してみてのご感想をお聞きしたい。
川鍋 東京業界として取り組んでいる方向性についても、有識者・学識者を交えた場で書面にまとめてもらって発信するという意味では、非常にいいタイミングで良い検討会を開いてもらったなと思っています。
 交政審「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会」でかつて検討されてきたことが、田端(浩)自動車局長自身の手によって具体例が相当出始めている中で、そうしたことについて消費者代表の声も交えて、「もっとこうした方が良いのではないか」などと議論していただいていますし、初乗り距離短縮についてもいろいろとご意見をいただいており、タイミング良く開催されているなと思います。
 ただ、もうちょっと具体的な事例について検討できればと思う面もあります。10年近く前からある程度の方向性は出ており、われわれ事業者としては具体的に事業化を進めてきているわけで、国交省に具体的な施策に落としてほしいと思いますし、そういう提言内容にしてほしい。
 その具体的なモノとは何なのかといったときに、例えば先ほど触れた結婚・子育て支援信託の活用―という場合、所管は文部科学省なんですが、国交省には文科省につないでいただくとかね。本当にリアルな結果が出るまでサポートしてほしいんです。もし、国交省内だけでできることであれば、それは小さなことでも良いですから結果が出るまで応援してほしい。
 例えば、理事会でも触れた事業用駐車場(車庫)の一部を外部に貸し出すというようなことですね。感触は良くても、いざとなると細かい課題が見えてきて潰れてしまうというのが今までの流れだったので、まずは成果を求めたい。
―検討会の課題にもあがっていますが、燃料サーチャージや初乗り距離短縮、加えて先ほど触れられた運賃改定の時期、実施の順序についてはどのようお考えでしょうか。
川鍋 一つひとつやっても大仕事ですが、メーター改造等のことも考え合わせると現実論として1回にまとめるしかないとは思っています。業界の都合という意味で考えればそういうことになります。

「苦い薬」でもあり、一度に
 また、誰にとってか?ということは別にしても、どれも苦い薬ではあります。結局、苦い薬なんだったら、一緒に飲み込んだ方が良い。単体で取り組むとなると、大変な労力を個別にかけることになるし、全体としてのバランス論という点も見逃せない。一緒にやることを前提に考えるべきではないかと。消費税+運賃改定で全体では上がることになりますが、その中で初乗り距離短縮も。燃料についても今、一時的に下がっていますが、サーチャージ制を導入してできれば外に出しておきたい。
―昨年末にインタビューさせていただいた際には、初乗り距離短縮の検討に当たって、トータルで減収があるにしても、「必ず新規需要が増加する部分はあるはずだ」ということで、結果として差し引き減収になるにしても、その部分の見極めのためにも需要予測を行うというお話でしたが、その後、新規需要予測・分析についてはどうなったのでしょうか。
川鍋 痛いところを突かれましたね。厳密な意味での需要予測はまだできていません。
 実は、今年8月5日「タクシーの日」に初乗り距離短縮のテストをしようと考えていたんです。その日、1日限定で小規模な実験をですね。いざとなるとなかなか難しい部分があるんです。行政からの認可とか、業界内のコンセンサスを得るという以前の問題として、1日だけの実験を行うためには、「誰を対象に割引をすればいいのか」ということが課題として浮上しました。1日だけで、初乗り距離短縮を知れ渡らせるというのは難しいんです。テストしてみても、「良い」という結果も出ないし、「悪い」という結果も出ないのではないかと。
 例えば、タクシーの日、1日に限定し、さらに75歳以上の高齢者、3歳以下のお子様連れの女性などに限定して、さらにその中で初乗り距離以下の乗車のお客様に限定し、仮に初乗り距離短縮運賃が500円と仮定した場合に、現行初乗りの730円との差額=230円分を割り引くとすると、すごく長い説明をしなければならない。パッと聞いただけではなんだかわからない。確かに「初乗り運賃が500円になりました」と言えば、大きなニュース性がありますが、その日だけモゴモゴやっても、但し書きが付き過ぎて何の実験なのか、よくわからない。

難しいフィールドテスト
 協会としてのタクシーの日のイベントを見直して浮いた予算=700〜800万円程度が割引の原資と考えると、非常に限定的な実験しかできませんし、それをPRするための費用も捻出できないということなんです。当初は小さく試してと考えていたんですが、小さく試すということ自体が実際にはかなり難しいんです。本当に効果を見極めるためには1〜2カ月かけて、減収分は個々の事業者が被る覚悟がないとできないなと。いまは、「フィールドテストって難しいな」と思っていますし、無理にやってもこじつけのような結果、分析にしかならないのではないかと考えています。みんなが納得する結果が出ないな―という意味でも、思いあぐねているのが現状です。
―いわゆる、利用者の意識調査のような方法はどうなんですか。

このままでは800円、1000円に…
川鍋 消費税増税時を実施時期と念頭に置くなら、いま調査するのは早すぎるのではないか。いざという時に「2年も前のデータなんか」と言われかねません。
 いずれにしろ、何らかのトライはしたいと思っています。このまま、消費税増税を迎えれば初乗り2キロ740〜750円程度になることは避けられませんから。それで良いのかどうか。多くの方々から「将来、初乗り運賃が800円になり、ゆくゆくは1000円になるのはちょっと」という声は聴きますが、そうであれば今やらない理由もないのではないでしょうか。特に五輪前で景気が上向くとされている今やれなかったら、将来もできないと思う。
 私が会長であるうちで、かつ、いまがチャンスという時期ですから、ここしかタイミングとしてはないのではないかと思いますね。
―東京都内4交通圏はいずれも、特定地域指定候補地から外れました。都内における今後の事業適正化についてはどのように取り組むべきだとお考えでしょうか。

「預かり休車制度」をぜひ
川鍋 実働率は相当程度下がっていますから、全タク連の富田会長が昨年から主張されてきた「預かり休車制度」がまず必要なのではないか。この制度は全国的にみて、特定地域、準特定地域にかかわらず必要な措置ではないかと思います。また、実質的にも一番効果的な措置なのではないかと私は思っています。業界の誰もが切望している措置でもありますし、コスト削減になりますしね。
 それ以上のこととなると、準特定地域では難しいと言われていますから、こうしたことは実現していかないといけない。
―同じく、東京4交通圏の準特定地域協議会には分科会の設置が決まり、川鍋会長ご自身も特別区・武三交通圏の活性化分科会会長就任が決まりました。同分科会の今後の取り組みについてはいかがでしょうか。
川鍋 まず、活性化については東タク協会員であるか否か、新規参入か既存かという事業者間の垣根はそれほどないものと思っています。私自身は初乗り距離短縮論者ですし、新規参入組からはむしろ、「もっと早くやれ」という声がかかるのかもしれません。
 個人的には事業者はもっとITを活用していければと思っています。例えば全社がデジタルタコグラフを装着し、東京全域の実車率がリアルタイムで分かるようになればと思っています。そうすると、これも例えばですが、「明らかに日曜日の昼間は実車率が低いな」といったことが分かるでしょう。そうすると日曜日に昼間だけ、少し運賃を割り引くとかね。

「ダイナミックプライシング」の検討
 メーターの問題はありますが、いまのメーターは曜日・時間単位で動かすことはできる。そういったことは、ああでもない、こうでもないと一緒に検討できれば。逆に、金曜日の深夜10時以降は2割増運賃になっていますが、3割増にしても良いんじゃないかとか。あるいは、夜8時から1割増でも良いんじゃないかとか。いわゆるダイナミックプライシングと言えるものも検討したら良い。
 みんなで議論して、業界全体の利益につながるような施策が運賃面で打ち出せないか?そのために、ファクト=事実データを掴んでおかなければなりませんから、どういう手を打ったら全体のパイが大きくなるかという研究はやってみる価値があるのではないか。
 このほか、観光タクシーも当然やりたいことですし、どんどん前向きに検討し、可能なものから実行していきたい。
―配信動画視聴等による割引クーポン提供など、原資を第三者に負担させる手法での運賃割引を日交では実施されています。日経報道等によればウーバー対策等の意味合いが濃いようにも受けとめられていますが、実際の背景、経過などをご説明いただければ。
 また、東タク協理事会でも発言のあった協会の共通アプリ「スマホdeタッくん」を活用すれば良いのではないかとの意見についてはいかがでしょうか。
川鍋 実際のところ、東タク協の「スマホdeタッくん」には、クーポンコード機能というものが入っていませんから、現時点では対応できません。システム設計段階から日交データサービス(NDS)が請け負ってきましたから承知しているのですが、それをやるとなると、そのための仕様書を出していただく必要があります。
 スマホdeタッくんについては、本当に正直に清く正しくやっています。社内でも、東タク協のスマホdeタッくんについては、私に報告しないでくれと言っています。協会としての取り組みの進捗状況は担当の樽澤(功)副会長から聞くようにしているんです。
 日交としては、ウーバー対策などの意味合いを込めて実施したのであって、動画視聴広告については博報堂さんのお世話になることができたので実現した。スマホdeタッくんについても、同じことをやりましょうというのなら、スポンサーを獲得してやれば良い。
 ただ、スマホdeタッくんのことなので、私としてはこれまで口出ししないようにしてきたということなんです。共通アプリに関しては、協会長と日交の社長として利益相反の部分が一部にあるといえ、基本的にはスマホdeタッくんにはかかわらないようにしています。個人的にも日交だけで独占的にあれをやりたいということはなく、東タク協の担当委員会での議論を経てやりましょうということであれば、それで良いんです。
―その点は理解しました。一方で、川鍋会長には以前から何度もお話を伺う機会をいただいてきましたが、そのたびに、「運賃での競争はすべきではない」と話されていました。それでも日交として、限定的とはいえ運賃を割り引くというのはそれだけウーバーが脅威だということなんでしょうか。

意味のない消耗戦でなく、利益が増える可能性があれば
川鍋 これまで言ってきたことは、意味のない値引き合戦をして消耗戦をすべきでないということなんです。私は日交及びタクシー業界の利益しか見ていません。その利益が増える可能性のあるものは全部やりたいんです。今回の例ではスポンサーが付いて、当社としては持ち出しがないわけですね。外の業界の販促費を当社に持ってきたということなんです。スイカの導入の際もそうでしたが、車載器導入に当たって代金をかなり値引きしてもらったというのと同じように捉えています。
 外部のマーケティング費用を業界のために引っ張ってくる。それができるんだったら、スマホdeタッくんでもやったら良い。そこで、「東タク協のためにスポンサーを川鍋会長が汗をかいて引っ張ってこい」と言われても、そこはまず担当委員会で検討して下さいねということなんです。
 社内でも担当者が頑張ったのであって、スポンサーが博報堂か電通かも直前まで聞いていませんでした。当社として先鞭をつけたことで今後に可能性を見出したということでご理解いただきたいし、最初からスマホdeタッくんということでは、外部の資金を引っ張るというスキームは作れなかったのではないかとも思っています。また、第三者に割引の原資を負担していただくという仕組みが作れなかったら、日交としてもこのような取り組みはやらなかっただろうと思います。
―ウーバー等業界外からの配車事業参入に関しては、先般福岡市での無償旅客運送の実証実験が国交省の勧告により中止されましたが、今後の同様の試みについてはどのように予想されるでしょうか。
 また、先日はDeNA、ZMPによる自動運転車両によるロボットタクシーの合弁会社設立が発表されました。IT化の進展はいよいよスピードアップしている観がありますが、この点についてはいかがでしょうか。こうした動きはどんどん加速され、少し前に想像していたよりも一層スピード感は上がっていますね。

IT企業との闘いは腹を括って
川鍋 業界の先頭を走っているように見えるのかもしれませんが、正直なところ、私自身もそれほど時代の先端に居るわけではないということはまず理解してほしいですね。1年前とは違う点は、いよいよ日本にも来たなということでしょうか。まずはIT事業者による配車参入、次いで白タク配車のテストまでやったわけですね。その1年前にはウーバーはなかったわけですが、さらに1年ほど前になるとヘイローもなかった。要するに世界で起きている流れは必ず日本にも来るということなんだと思います。そのこと自体は防ぎようがないので、来ることが前提で腹を括って闘わないと、100%われわれは負ける。
 無償旅客運送の実証実験はいったん中止されましたが、ウーバーは必ず、100%と言っていいと思いますが、またやると思っています。ヘイローもそれを黙って見てはいないでしょう。グーグルがシリコンバレーで取り組んでいた自動運転についても、日本で、日本企業でもやろうという人が出てきたなという感じです。私から見ても進展が早いなというのが正直な感想でしょうか。
 問題は、だからわれわれは何をするのかということなんだと思います。だからこそ、東タク協でやろうとしている輸送実績等のWeb化システム構築に3年も5年も掛かっていたら、日が暮れてしまうということなんです。
私が早いのではなく、業界全体の動きが遅いということをまずはご理解いただきたい。世界の動きは私なんかよりもっと早い。一方ではロボットタクシーを事業化しようという動きがある中で、Web化に3年も5年も掛けていられる話ではないはずです。「俺はもうトシだからITのことはよくわからない」ということは今後通用しないし、許されない。われわれは事業者なんだから。
―先般のDeNAとZMPによるロボットタクシーのプレス発表資料には、「地方創生に資する」との記載もあり、国策に沿っているという印象を強めています。

タクシー事業者がいつまでも生き延びられると思っていたら…
川鍋 普通に見れば、そう見えますし、なかなか抵抗しづらいように組み立てられていますよね。ウーバーのことも同じだと思います。福岡の実証実験では無理をしたのか、われわれが想像していたよりも、内容はいい加減なものだったことがわかった。しかし、彼らだって、行政から指摘された点は改善してくるだろうと思いますし、世の中は日々前進していますから、ウーバーだって次があると思う。
 基本的には、いつまでもタクシー事業者が生き延びられると思っていたら、それは大間違いだ―と腹を括らないといけないと思います。昨年の通常総会で私は、長女の桜子にバトンタッチできるようそれまでがんばるというようなことを言いましたが、実際に桜子が継承する事業はタクシー事業ではなくなっているかもしれません。本当に先のことがわからない、見通せない時代です。この数年の動きはそれほどに速いと思います。
―確かに最近の動きは、戦後連綿と続いてきた従来型のタクシーというビジネスモデルを壊す方向にばかり進んでいるような気がします。2020年の東京五輪くらいまでは現在の延長線上で進むような気がしますが、現時点から20年後になるとまったく想像できませんね。
川鍋 1964年の東京五輪を振り返れば、五輪のために新規免許、増車が認可され、個人タクシーも増えたという経緯がありますね。大手は現在につながる「4社カラー」を導入した。東京五輪を境に、その後数十年続くフォーメーションが築かれたという気がします。
 ただ、当時は新免事業者対既存事業者、どこまで増車するかどうかとか、運賃は上げるのか上げないのかというような同じタクシー事業者同士、同じ土俵での対立はあったが、そこまでのものでした。現在のように業界外からタクシーに参入してきたり、従来型のタクシー事業のビジネスモデルを破壊するような動きはなかった。

従来型のビジネスモデルを破壊する動き
 新経済連盟が自民党に提出した要望書(*4月15日付、党・規制改革推進委員会宛に提出)では、白タク解禁をずばり求めていますね。新経連では毎年講演会をやっていて、そこではかつてウーバーも講演したし、今年はリフト(米国発のウーバー類似サービス。楽天が360億円出資)が講演し、日本に上陸したがっているという話も聞いています。そういうつながりもあって、新経連で政権・与党に要望を出しているという流れです。
 タクシー業界としては、「政府の規制改革会議とのケンカ程度であの頃は良かったな」という時代が、5年後くらいにはもう来ているかもしれませんよ。従来型のタクシーというビジネスモデルの中での闘いが続いているうちは、本当に良いんですよ。ある意味で大したことではないと言える。
―新経連の要望書では白タク解禁という要望内容ですが、その前段にシェアリングエコノミーの推進という大きな目的も掲げています。共有経済を進めていくということは財・サービスを共有するわけで、例えば新車販売は停滞するおそれがある。国内の主要自動車メーカーは日本経団連に加盟しており、新経連の要望は経団連の利害と対立することになりますね。

シェアリングエコノミーが進んでいけば
川鍋 気づいている人はあまり多くないのかもしれませんが、シェアリングエコノミーをどんどん進めていけばGDPは縮小していくことになります。だって、無駄がなくなるんですから。観念的には原資共産主義社会のようなものに近づいていくとも言えるかもしれませんね。結果として、そちらの方向に進むしかないのなら、われわれはそこでのポジション獲りに力を入れなければならない。「ゼロ」か「縮小均衡」かの選択を迫られれば、「縮小均衡」を選ぶしかない。1人の消費者としてみれば、そういう流れでも構わないということになるかもしれません。GDPが膨らむ、膨らんでいるということは、われわれがクルマを買ったりするからで、買ったクルマはたいていの場合、95%の時間は停まっているんですよ。そういうことだけを考えれば、シェアリングエコノミーを進めようということ自体が間違いだとは言えなくなる。
 でも個別にみていけば、私やあなたの自宅のベッドだって1日24時間のうち3分の1しか稼働していませんよね。じゃあ、靴はどうだとか、このテーブルはどうだ―といちいち考えていけば、キリがないし個人の財を共有したくない人もいる。また、タクシーの実働率が40%そこそこというのはそんなに低くないという言い方もできる。事業者として現在の実働率に満足するかどうかとは別の問題としてですね。

白タクは素晴らしい!?
 シェアリングエコノミーっていう言い方をされると、白タクが何か素晴らしいもののような印象も与えるでしょう。今後、議論が巻き起こってくることは避けられないかもしれないし、そうなったとき、そういうスローガンに対抗して、本当に担保しなければならない安全性のあり方とか、消費者保護のあり方を突き詰めていって、どういうモデルで再構築するか?再構築するのであれば、いまこの業界にいる人たちをどうやって円滑に移行させるのか?ビジネスモデルとして、あるいは社会モデルとしてこちらが明らかに優れているから、あとは知らない、敗者は死んでも良いというわけにはいかないでしょう。
 旧ビジネスモデル側にいる人たちが、どうやって新ビジネスモデルに移行するのかということもある程度設計していかないと大きな混乱を呼ぶ。アメリカみたいにすべてを自由競争に任せて、敗者のことは放っておくというわけにはいきません。
―事業活性化については先般、国交省から総点検の実施が求められ、今後は具体的な数値目標の設定や、準特定地域協議会の半年ごとの開催によるフォローアップも求められていますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
川鍋 数値目標を設定することなどはみんなで目線を合わせるための良い機会になると思います。業界として成果を出すため、シャカリキになってやるということ。新卒にしろ、女性にしろ、採用を拡大するには、個別事業者ごとに営業所を綺麗にしておくとか、そういったことにもお金は掛かりますが、必要なことです。
―最後にひと言ありましたら、お願いします。

業界外、海外情勢にも目配りを
川鍋 世の中の動きは本当に速いですね。ビジネスモデルの変化が速すぎてついて行けない面が私にもあります。
白タク解禁なんて、本気で言い出す人が出てくるなんて、5年前には夢にも思わなかった。スマホアプリ配車を当社で始めた時も、通常の電話の延長くらいの気持ちで無邪気に取り組んでいたものです。いまでは業界全体がこんな騒動に巻き込まれている。
 4年前にはウーバーなんて影も形もなかった。世界ではそうした白タク配車事業者同士の競争も激烈になっていますし、実態以上の評価で投資家の資金がそうした事業者に集まっていますから、どんどんお金を注ぎ込んできます。消耗が激しく、中国では大手配車アプリ事業者同士が合併する動き(*今年2月)もありました。
タクシー業界外や海外の事情などにも目を配って、よく見極めながら対応する目を多くの事業者の皆さんも養っていただけたらと思います。
―有り難うございました。(5月15日収録)
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No.585 5月25日号 主な内容
■トピックス
 :東タク協・川鍋執行部、2期目のスタートへ〜川鍋会長インタビュー
 :京浜交通圏、特定地域指定〜適正化・活性化、神奈川が牽引役に
 :タクシーが変わる。〜日産「NV200タクシー」京タ協が勉強&試乗会
 :「不同意」相次ぐ特定地域指定〜中・西毛交通圏準特定地域協議会
 :協会長も、副会長も… 〜大津市域交通圏は「まさか!」の全員反対
 :6月18日仕切り直しを前に〜大阪識交通圏、事業者構成員の賛否再録
 :タクシーの将来像、選択肢は他にも〜エコ&セーフティ・カーライフフェスタ
■東西往来:ゆるキャラでムード一変? / こちらの「深夜」は飛び火も歓迎
■この人/この言葉:齊藤 壽夫氏、太田 宏氏、菊池 邦夫氏、小川 敬二氏
■シャッターチャンス
 :資金力では到底敵わぬ/繰り返されてきたタクシー問題
 :住民投票は結果オーライ/改正法の立法趣旨は
■アラカルト
 <内外交差点> 車の通信利用技術   岡ア 邦春氏D
速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
 京浜交通圏の特定地域指定に同意
    事業者構成員の「賛成」71.8%
      全会一致、自治体など一部棄権も「会長一任」で

【 横浜 】京浜交通圏準特定地域協議会が22日、港北区の神交共ビル大会議室で開催され、全会一致で特定地域指定に同意した。新たに加わった事業者から特定地域指定に反対意見が出たり、自治体から利用者アンケートついて質問が相次ぐなど活発な議論が展開された。事業者の「指定」への賛否は8896両(法人6799両、個人2097両)のうち、賛成が6385両で71.8%、反対が2463両で27.7%、棄権が48両(すべて個人)で0.5%―だった。
 冒頭、新たに構成員となったカナガワ交通潟Cースタンの古知愛一郎社長はじめ、三和交通、三和交通神奈川、関東中央交通の4社と全神奈川ハイタク労組連絡会議幹事1人が紹介され、協議会会長として京都大学の藤井聡教授に代わり、東洋大学国際地域学部国際地域学科の岡村敏之教授の就任を承認。また新たな事務局長として、岡村新会長は神奈川県タクシー協会の伊藤宏会長を指名した。
 1年間の取り組み状況の報告では、関進委員(川崎タクシー社長)からUDタクシーによる潜在需要の掘り起こしの報告があった一方で、横浜市から乗合タクシーへの要望が出た。
 特定地域指定の前提となる利用者の意向把握アンケートについては、横浜市と川崎市から回答の募集方法について質問があり、事務局は「(神タ協の)ホームページで募集したが、回答はなく、時間がないこともあり、タクシー業界以外の関係機関の職員、家族などに依頼した」と回答。続いて三浦市からは「調査対象者は京浜交通圏の居住者に限定していないのか」とあり、「特にそのような限定はしておらず、あくまで『利用者』という名目で調査した」と応答。神奈川県からは「他地区で『指定』不同意や保留が出ているのをどう考えるのか。特定地域になれば新規参入はなく、増やすこともできない、減らしていくだけということなのか」との懸念が示された。
 これに関連して、石渡伸治委員(全神奈川ハイタク労連議長)は「不同意は『減車させられる』ということへの反応だろう。『減車の重み』も考え、営収が良くなり、タクシーつかまえにくくなったら車両を戻せる預かり休車制度を導入すべきだ」と発言。山田豊委員(三和交通神奈川)は、「本当に車両が多いと言えるのか?一般の人の正確な意見を知りたいところだ。車両が減り、利便性が低下すればウーバーやリフトの参入を許しかねない。減車ありき、ではなく利便性を第一に考えてほしい」と述べた。
 続いて、古知委員から「行政は、特定地域では預かり減車を絶対に認めないようだが、どんな事業にも『営業の自由』はあり、雇用問題もある。計画的に経営するのか、自由主義的にやるのかは各自のやり方であって、数の力で押し切るのは問題。慎重に取り組むべきだ」との意見、豊島博之委員(三和交通)からは、迎車走行距離が実働実車率など指標に含まれていないとして指標の取り方自体を疑問視し、「指定反対」が表明された。
 議決に進む段になって、横浜市が「あのアンケート調査だけでは利用者の意向を十分に踏まえた議論となっていると言えるか疑問。『指定』反対の事業者との議論も十分になされているとは思えない。同意・不同意の判断をできかねるので棄権したい」と表明。これに対し伊藤・事務局長からは「そもそも同法の趣旨は労働条件を改善し、若い乗務員を雇用し、安全を担保して利用者利便に資するにあることを理解いただきたい」、小島道春委員(神奈川県個人タクシー協会会長)からは「利便性を向上させるにはどうすればいいのかと考えた時、個タク事業者の多くは現状が厳しいからこそ一歩踏み込んだ議論をしてほしいと考えていることに理解を」との発言があった。
 自治体からの懸念表明を受けて岡村会長は「利用者利便を第一に議論を進めていくことは『言わずもがな』のこと。その方針で行くという認識の下、決めかねて棄権せざるを得ない方は『会長一任』していただけないか」と提案し、了承を得た。
 採決したところ不同意はゼロ、棄権は横浜市、横浜市消費生活総合センター、神奈川労働局など5人となったが、「会長一任」とされ、全会一致で特定地域指定の同意を確認した。

〜「分科会」設置へ
 伊藤・事務局長から同協議会の下に分科会を設置したい旨の発言があり、次回、設置要綱に盛り込む方向を確認して終了した。
〔5月23日号関東版掲載〕  <Topへもどる>

2015年5月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】京浜交通圏の特定地域指定に同意/事業者構成員の「賛成」71.8%/全会一致、自治体など一部棄権も「会長一任」で
【 横浜 】「認可運賃収受」なら適法/第三者負担の割引クーポンで関運局
【 横浜 】準特地域の適正化をサポート/特定地域指定の賛否は地域の判断
【 福岡 】第一交通産業が役員人事案
【 東京 】特定地域指定の見直しを/参院国交委で辰巳議員(共産)
【 東京 】労働側委員が意見調整へ/地域協分科会対応で28日に会合
【 東京 】理事変更などを承認/東京無線協組・理事会
【 東京 】初乗り短縮運賃に「断固反対」/東京無線連絡協が声明
 
2015年5月22日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】運賃制度改革は消費税率10%時に一括/未来につながるビジネスモデルを模索/東タク協・川鍋会長インタビュー
【 横浜 】前年比減収は2地区のみ/関運局管内・4月原計輸送実績
【 東京 】「新卒・女性採用PT」に改称/東タク協、女性採用を積極化
【 東京 】会費値上げで事業拡充/東タク協共同営業委が総会
【 宮崎 】特定地域指定に同意/宮崎交通圏、全会一致で
【 高松 】反対が8割超、高松は不同意
【 東京 】グリーン経営認証リーダー研修会/エコモ財団が全国10都市で開催
 
2015年5月20日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 横浜 】「自らの将来を決定する重い責任」/京浜交通圏の特定地域指定同意へ/神タ協・定時総会、伊藤会長が決意と自信
【 横浜 】相次ぐ指定不同意に危機感/全タク連・富田会長「神奈川が牽引を」
【 東京 】CWO(最高健康責任者)設置/日交が「ウェルネス経営」実施へ
【 東京 】大和自交・3月連結決算/前島専務が社長就任へ
【 東京 】前年比33%増の1万6418両/カーシェアリング車両が急増
【 東京 】法人217人、個人47人減/4月の運転者証等交付状況
【 東京 】全国で12万4742局が運用へ/4月のデジタルタクシー無線
【 東京 】正しい装着は97%/恒例のシートベルト調査
【 新潟 】26日から越後湯沢で交研集会/交運労協、4分科会で討議
 
2015年5月16日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】法改正して「白タク配車サービス」を/楽天など「新経済連盟」が自民に要望/全タク連正副会長会議で報
【 大津 】正副会長以下「全員反対」で不同意/特定地域指定で滋賀・大津市交通圏
【 広島 】特定地域指定、法人の賛成98%/個人も77%、広島交通圏は同意
【 福岡 】再協議の久留米は「不同意」/事業者の8割近くが「保留」
【 横浜 】特定地域での真摯な議論を/太田・神タ協横浜支部長
【 横浜 】川崎支部も特定地域指定念頭に
【 東京 】観光タクシー予約で「トミカ」/日の丸交通がキャンペーン
【 横浜 】10月からの登録制度実施に全力/再任の齊藤・東タク協三多摩支部長
【 東京 】地域NW連携へUD活用を/全タク連・ケア輸送委員会
【 東京 】全国で1万4068人/3月末現在のUD研修受講者
 
2015年5月16日号−2 関東版 ニュースヘッドライン
【 水戸 】デジタル化率86%、完全移行にめど/高野会長、IP無線利用者の結集図る/関自無協、茨城で15年度通常総会
【 東京 】4月から無線搭載の優遇実施/チェッカー無線協組
【 東京 】特区・武三と多摩、総需要で明暗/東タク協・4月原計輸送実績
【 横浜 】車停は法人16件、個人2件/関運局・4月の行政処分
 
2015年5月15日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「適正化あっての活性化」を再確認/「活性化」傾斜に懸念の坂本本部長/全タク連正副会長会議に「伝言」
【 東京 】多摩地区がより厳しく」/東タク協・3月全社輸送実績
【 東京 】「適正化」の会長に戸崎氏/東京準特協、分科会委員決まる
【 東京 】LPG今夏のCP予測/昨年の半値近くに下落
【 東京 】時給900円基本の賃金体系に/シンセツタク、5月移行で労使合意
【 東京 】秋山支部長を再任/東タク協・江東支部
【 東京 】「ロボットタクシー」開発へ/DeNAが合弁会社
 
2015年5月13日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 前橋 】特定地域指定、4件目の「不同意」/事業者の「反対」97%超える/埼玉・群馬両県「中・西毛交通圏」
【 東京 】雨が後押し、前年比11.4%増/4月の都内無線配車回数実績
【 横浜 】特定地域「結集力が試される」/関・神タ協川崎支部長
【 東京 】新規登録は3社・3事業所/4月のグリーン経営認証
【 東京 】「新人ドライバー」ステッカー/日交G、特区・武三の全社で貼付へ
【 福岡 】過去最高益を記録/第一交通産業・3月期連結決算
【 東京 】コンドルGがラッピングで協力/杉並区の危険ドラッグ対策
【 東京 】初乗り距離短縮運賃「反対」/東京無線連絡協・全体会議
【 東京 】埼玉県内で組織拡大キャラバン/全自交東京地連が6月10・11日
【 新刊 】「タクドラ専科 関隆の流し方教室!」
 
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■ ヤサカG7社が取り下げ
    深夜早朝割増廃止、申請車両は半数以下に

【 京都 】彌栄自動車(粂田佳幸社長)をはじめとする同グループ7社は22日、深夜早朝2割増廃止の認可申請を取り下げた。この日午前、グループ各社の関係者が京都運輸支局を訪れ、取り下げ願いを提出した。7社合わせて約1300両の同グループの取り下げにより、既存の廃止事業者を含め、京都市域の法人総車両数の7割近くに達していた申請車両数は一気に半数を割り込むことになる。業界最大手のヤサカグループに認可が下りれば「追随するしかない」との姿勢を見せていた個人業界の動きも収束し、「横にらみ」で申請している法人各社が取り下げに転じることも予測される。取り下げの報を受け、京都府タクシー協会の安居早苗会長は本紙に「業界全体のことを考えたヤサカグループの英断を、心から歓迎する」とコメントした。
 申請取下げについて彌栄自動車の北川賢持常務(京タ協経営委員長)は同日、本紙記者の取材に「歩合制賃金を採用している限り、運賃競争は最終的に乗務員にしわ寄せが行く。観光バス業界でも過当な運賃競争が安全性の劣化を招き、悲惨な事故が多数起きた。深夜早朝というのはタクシー業務の中でも最も危険な時間帯であり、そこで運賃競争をするというのはとんでもないことで、やはり乗務員、そして何よりご利用いただくお客様の安全を考えれば言語道断。さまざま逡巡も繰り返したが、結局は取り下げしかないと今回の決断に至った」と述べた。
 グループのスタンスについて北川氏は、「基本的にタクシー運賃は統一されて然るべきという考えで、公定幅運賃の導入によって運賃競争が沈静化すると期待していた」と強調。ところが公定幅運賃に従わない会社が存在し、加えて6社が深夜早朝割増を廃止している状況で、「事あるごとに解決したいという思いもあったが、公取委などとの絡みもあり、なかなか難しく今日まで来てしまった。そうした中で繰り返し乗務員から寄せられた声は『とにかく運賃を統一してほしい』という悲痛な訴えで、ならばということで、その対抗策ではないが、公定幅実施後、下限運賃を選び、なおかつ、不本意ながらも深夜早朝2割増廃止の認可申請を提出することにした」と、申請に至った背景を説明した。
 申請から1年以上が経過し、この間、明星自動車の廃業や京聯自動車の民事再生など京都業界を取り巻く事業環境が著しく変化する中で、基本に返り、認可間近とみられた申請の取り下げを決めたとした。
 北川氏はまた、「2020年には東京オリンピックが開催され、タクシー業界においてもさらにインバウンド施策が重要になる。そんな中で足下をみれば日を追うごとに乗務員の減少に加え、高齢化と厳しい状況にある。過当な運賃、割引競争をするよりも、若い人たちが一人でも多く集まるような魅力ある業界にするために事業者一体となって取り組む、そうしたことこそが必要と考えたのもひとつの大きな理由」と付け加えた。

〜運賃競争の沈静化に期待
 この動きを受け、本紙記者の取材に応じた京都個人タクシー団体連絡会の嶋田勝一会長(京都市個人タクシー事業協組理事長)は、「個別で一部申請している者もいるが、個人業界全体として認可申請を行うことはない」と明言した。今後、大手などの動きに引きずられる格好で同調した「消極的申請組」の取り下げが続く可能性もあり、加熱の一途だった運賃競争の沈静化が期待される。
〔5月23日号関西版掲載〕<Topへもどる>

2015年5月23日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 京都 】ヤサカG7社が取り下げ/深夜早朝割増廃止、申請車両は半数以下に
【 京都 】中・小型の普通車一本化/京タ協、消費税10%時に実現へ
【 大阪 】次回8月7日で終結の見通し/ワンコインドームの公定幅訴訟
【 大阪 】「LCCタク」15両で新規参入/準特解除の泉州、下限運賃で
【 大阪 】投票方法などを打ち合わせ/大阪市域準特協・事務局
【 神戸 】新型IP無線の運用24日に/ABC無線、試験段階の不具合解消
【 大阪 】スマホアプリ導入などを周知/関協が臨時総会開催へ
【 大阪 】親交会協組が通常総会
【 神戸 】姫路個タク協組理事長に山ア氏
【 神戸 】若年、女性雇用の拡大テーマに/旅客運送事業の在り方委員会
【 大阪 】韓国のタク団体事業者が大タ協訪問
【 大阪 】女性乗務員の獲得など/敷島交通がHP開設してアピール
【 奈良 】天理タクシー、無線搭載にめど
【 神戸 】兵タ協、地域交通特別委開く
【 神戸 】兵庫交通共済・査定委
 
2015年5月23日号−2 関西版 ニュースヘッドライン
【 和歌山 】内外巨大資本の攻勢に結束を/ウーバー、新経連…  近自無協総会で坂本会長が警鐘
【 和歌山 】富士通テン、西菱電機など/ロビーの機器展示に7社
 
2015年5月22日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】賛成派は「発信力」高めて/近運局定例会見、特定地域指定巡る応酬で阿部・自交部長
【 大阪 】監査の端緒件数増えた/4年ぶり監指部復帰の本田部長
【 大阪 】全大個協会「委任状」は後日/大阪市域交通圏の構成員参加で
【 神戸 】新サービスと利用しやすい運賃/兵タ協、活性化協議の論点に
【 大阪 】協会に「強い発信力」促す/大タ協・女性部会でも近運局
【 神戸 】淡路地区の運改で利用者懇談会
【 京都 】深夜のコンビニ警戒/効果アップへステッカー
【 大阪 】新組織「大阪無線」への移行説明/大無協、「スマホ配車」にも対応
【 和歌山 】近自無協奈良県支部が総会
【 奈良 】デマンド型乗合タクシー/日の丸交通が新たに運行へ
【 大阪 】栄和交通「譲渡の可能性も」/大阪ハイタク連合会で労組が報告
【 神戸 】兵タ協・ケア輸送委開く
 
2015年5月20日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大阪 】大タ協・三野会長「タクシー自由化特区」取り下げを/「都構想」否決で退任表明の橋下市長に注文
【 大阪 】個人「1604票」が賛成へ/大阪市域交通圏、指定同意に傾く
【 大阪 】特定地域協は需給バランスも論議/交通労連関西・小川ハイタク部会長
【 大阪 】「75歳」念頭に遺漏ない譲渡を/南大阪新城個タク・定期総会
【 神戸 】運転者証交付そうスン9264人/兵サセン、平均61.6歳
【 大阪 】委員会で最終案確認/関協の営業用パンフ
【 大阪 】解決金年間700円など/ナショナルタクシー春闘妥結
【 大阪 】交差点事故防止の留意点/近運局担当者が講演
【 神戸 】LPG車の優位性アピール/「エコ&セーフティ」フェスタ
【 京都 】「天皇と歴史」テーマに6月23日/第7回「京都知ったかぶり講座」
 
2015年5月16日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大津 】滋タ協正副会長以下、全員が「反対」/大津市交通圏 特定地域指定、近畿初の不同意
【 大阪 】「疑義出ぬよう、現場投票」を示唆/大タ協理事会、特定地域指定問題で議論
【 大阪 】「終了」を否定、「突如、再開も」/北新地抜き打ち調査で近運局
【 京都 】観光都市のニーズにも適合/京タ協、NV200タク試乗会
【 大阪 】北新地で自主街頭指導
【 神戸 】兵タ協東播支部が総会
【 神戸 】吉川支部長らを再任/近自無協兵庫県支部総会
【 岡山 】両備グレースタクシー視察/女性雇用計画の協親交通
【 京都 】「Hell0 KYOTO」/京都市の公式アプリPRに協力
【 大阪 】東淀川で恒例の街頭啓発/交通安全協会バス・タク部会
【 大阪 】D&TJ、住所・役員変更届
【 和歌山 】日交協和、住所・役員変更届
【 奈良 】三晃モータース、役員変更届
【 大阪 】近運局、3社を車停処分
※大運支局監査情報
 
2015年5月15日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大阪 】「外国人対応運転者」6月公募/「インタク」8月中本稼動へ新たなステップ
【 大阪 】個人事業者の構成員登録に期待/大阪市域準特協に向け阿部・自交部長
【 大阪 】北新地の抜き打ち調査終了/近運局、タクセンの指導強化などで
【 大阪 】4月の不法乗り入れ14件/北新地、タクセン街頭指導11回
【 大阪 】議決権ない個人が特定地域の応援?/壽タクシー・浦木山社長が指摘
【 大阪 】大運支局、4月の苦情は」28件
【 神戸 】「エコ&セーフティ」フェスタ/メリケンパークで16・17日
【 和歌山 】若年層取り込みへ運改が課題/和ハ協総会で田畑会長が私見
【 大阪 】全車両譲渡で太平タクに一本化へ/エヌ・エヌ・ティー
【 大阪 】ベスト交通が八尾営業所新設へ/グループ会社GTは車庫再編
【 和歌山 】相互タク「Yune Koko」も/マジカルミュージックツアー
 
2015年5月13日号 関西版ニュースヘッドライン
【 大阪 】申出書と「合意」の委任状集め/大阪市域準特協、再協議に向け全大個協会
【 京都 】「とりあえず特定地域」に警鐘/MK青木代表「行政の権限拡大」
【 大阪 】大タ協は5カ所でキャンペーン/春の全国交通安全運始まる
【 大阪 】1〜4月の交通事故死70人/全国ワースト、大阪府下の事故状況
【 神戸 】兵タ協は事故防止パレード
【 京都 】中・小型一本化「消費税率10%時に」/京タ協・経営委が基本報告で合意
【 大阪 】四天王寺支部が第1回総会/全大個傘下、個タク減少に歯止めを
【 大阪 】住吉個タク協会「計画的な譲渡を」
【 大阪 】「ママサポートタク」で貢献/枚方市、枚方第一交通に感謝状
【 大阪 】「引き続き乗務員を大切に」/ワンコイン八尾・大石新社長
【 京都 】四条通の渋滞「一過性」は疑問/MBS「Voice」が報道
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