【 東京 】東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長は21日の理事会で、特別区・武三地区の新公定幅運賃が前日の20日付で公示された事に触れ、準備に尽力した経営委員会などに謝意を述べた上で、「これからどうなるかについて、方向性は間違えていないとの確信は持ってはいるが、実施される際に乗務員たちがお客様に不満顔を見せたりなど、現実的な運用の世界に入ってくる。東タク協としても全力で新運賃がうまくいくように取り組んでいくが、会員事業者の皆さんも、まずは自分の城の乗務員に『消費者に選んでもらわなければライドシェアに取って替わられてしまう』との経営側の強い危機感を伝えてほしい」とし、「初乗り410円の新運賃の意義を（乗務員らに）十分に説明してほしい」などと求めた。当日は、理事会審議に先立ち、東京運輸支局の尾崎行雄・首席運輸企画専門官らから、準特定地域における預かり休車、期間限定減車の取り扱いなどについて、説明を受けた。
　ライドシェア問題について川鍋氏は、「民進党の辻元清美・衆院議員が政府に『世界各国の自家用ライドシェアの犯罪行為について』との質問主意書を提出、答弁書をもらっている（別掲）。さらに民進党の本村賢太郎・衆院議員を中心に国会で石井啓一・国交相に質問していただくなど、国会で実際の行動をしてもらっていることは大変有り難いし、ぜひとも報告しなければならないことだ」と述べた。

〜自動運転の共同ＰＪ、来年２月から
　また、８月５日の「タクシーの日」にトヨタ自動車と全タク連が取り交わした自動運転車開発等に向けたプロジェクト第一弾を来年２月から半年間実施することを明らかにし、「正副会長会議の中でプロジェクトに参加してもらう５社をあらかじめ選定させていただいたが、選定過程が不透明との意見が出たことと、さらにその後に細かに条件が出てきたことから、改めて年内いっぱいを目途として追加のプロジェクト参画事業者を募りたい」とした。プロジェクトは車載ドライブレコーダーと車両情報を収集する器機（トランスログ）を設置し、走行データなどを集計するもので、費用はすべてトヨタ側が負担する。川鍋会長によると、１社100両規模、合計５社、車種は14年以降登録の「クラウンセダン」（モデルＰＰＡ−ＴＳＳ10）、隔日勤務の営業車両―が応募条件とするなど「ハードルは高いが、実営業には何ら障害にならないし、持ち出しも一切ない」などとして会員事業者の協力を求めた。
　なお、理事会冒頭、車載ドライブカメラ映像をマスコミに流出させたチェッカーグループの三陽自動車交通・関澤邦正社長が「協会の皆様には大変なご迷惑をおかけし、（業界の）信頼を損失させたことを含めて心からお詫び申し上げる」とし、「二度とこうしたことがないように信頼回復に精進したい」などと陳謝した。同社ホームページで社長名の謝罪文を掲載している。
〔12月24日号関東版掲載〕　 <Topへもどる>

【 神戸 】兵タ協の吉川紀興会長は20日の理事・役員会の冒頭あいさつで、神戸市域交通圏の特定地域協議会（会長＝正司健一・神戸大学副学長）を３月中にも開催する意向を明らかにした。また、運賃問題にも触れ、これまでのシミュレーション結果を踏まえ、「初乗り距離短縮を含めた運賃改定」の方向で検討を進める方針を示した。
　吉川会長は業界活性化について、９月16日に神戸市と覚書を結んでいることから、交通空白地対策に積極的に取り組みを進めていく姿勢を示した。また、８日に姫路市内で開いた各支部との情報連絡会でも話題となった、兵庫県下における運転代行事業者（計175社）による「白タク行為」について、「違反行為が顕著になってきている。こういう状態を解消する取り組みを進めていかなければならない」と述べ、地域交通委員会（宇高昌利委員長）に対策の検討を指示した。
　議事では、来年１年間行われる「神戸開港150周年記念事業」に協賛、タクシーの存在をＰＲすることを決めた。同事業では、チラシ10万枚、ポスター2000枚を作成、神戸市役所をはじめ関連イベント等で掲出される予定となっている。協賛プラン（150万円）は、�@ポスターチラシの掲出�A神戸開港150年記念事業ホームページへの掲載�B神戸新聞への広告出稿（２回）―といった内容になっている。
　このほか、協会ホームページ書き込み欄の設定について具体案が示されたが、理事から「個人情報保護法に基づく個人情報管理についての記載をもっと詳細に書いた方が良いのではないか」との意見が出たため、顧問弁護士と相談し、修正の要否を検討することにした。

〜「活性化の意向」調査票発送
　11月の常任理事会で協力を決めた、大阪大学大学院工学研究科の猪井博登助教による「タクシー事業の活性化に関する意向調査」は20日までに修正を施し、会員全216事業者に発送した。１〜２週間程度で回答が求められるようだ。設問は80問で、全タク連の定めた業界活性化策11項目について、それぞれの項目ごとに「理解できるか」「実行できるか」「事業の継続性に効果があると思うか」「実施するために必要な支援は」などの設問と、個社の営業スタイルなどを問う形になっている。
〔12月24日号関西版掲載〕　<Topへもどる>