ハイヤー・タクシー業界専門情報紙  株式会社 交通界
2021年7月26日

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「週刊交通界21」毎月4回情報発信

地域別最低賃金決定方法はこのままで良いか
        〜形骸化する公労使の話し合い

 厚労相の諮問機関・中央最低賃金審議会は14日、目安に関する小委員会で地域別最低賃金引上げの目安額を全国一律に28円とすることを決め、同16日に田村憲久厚労相に答申した(結果と経緯については『交通界ファックスプレス関東版』7月16日号に掲載済み)。労使間の意見の隔たりが大きく、公益委員見解を最終結論とするという点では前年と大きく異なり、政府見解に沿った結論という意味では前年通りである。その意味で現行の最低賃金法の仕組みに沿った地域別最低賃金の決定という形式はいまもなお保存されているが、実質的には官邸主導で決定された骨太の方針や成長戦略で大枠は既定のものとなってしまっている。公労使の話し合いによる納得感のある最賃の決定はすでに形骸化しつつある。本年度の最賃決定の経過を振り返り、最賃に対するさまざまな考え方の一部を紹介しつつ、最賃決定プロセスの見直しをお勧めしたい。

中央最低審議会答申と目安に関する小委の議論の経過
 中央最賃審議会答申では例年、目安に関する小委員会で具体的な最賃のあり方=引上げの目安額について公労使の3者代表により審議を重ねる。
 昨年来のコロナ禍により、前年の引上げは実質ゼロとなる、答申で目安を示さないという結論に至ったが、本年については、労働側委員から「コロナ禍なればこそ、大幅な引上げが必要」との主張があり、1時間当たり40円の引上げを求める意見があがっていた。一方の使用者側委員からは「それでは中小企業の負担能力を逸脱し、雇用を維持できない」と反論があり、最賃引上げは前年同様見送るべきだとされていた。
両者の主張は最後まで歩み寄りがみられず、徹夜の審議をもってしても結論に至らず、7月14日の再開後の審議では公益委員見解をもって小委の結論とすることになった。
 公益委員見解ではA、B、C、Dの地域別ランクにおいても全ランクで引上げ額を28円とすること、つまり全国47都道府県一律に時間額28円の引上げとすることを結論としており、「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太の方針)及び成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップに配意した調査審議が求められたことについて特段の配慮をした上で、総合的な審議を行ってきた」と明記されており、公益委員自身が必ずしも自主的な議論のみを行ったのではないことを明らかにしている。

タクシー業界の要望と中小企業3団体の怒り
 タクシー業界では中央最賃審議会や厚労相には全タク連から、傘下都道府県タクシー協会からは地方最低賃金審議会に毎年のように要望書を提出しており、本年度の場合、全タク連として別掲(略、以下同)のような要望書を提出していた。
 両要望書では、「外出自粛などにより、タクシーによる輸送人員、営業収入が4割以上激減するという甚大な影響を受けている」「歩合給という賃金制度をとっていることから営業収入の激減は、直接最低賃金割れを引き起こしていて、不足分を事業者が全額負担せねばならない状況にあり、もし最賃額が引き上げられれば、多くの事業者が事業継続困難な状況に追い込まれ、廃業は必至」と訴え、審議会に対しては「これ以上の引上げを示さないよう」求め、厚労相に対しては「最賃改定を見送るか、あるいは猶予措置を設けていただくよう」要望している。
 一方、日本商工会議所など中小企業3団体は14日の中央最賃審・目安に関する小委員会の結論が公表されると間髪を入れず、コメントを発表しており(別掲)、その中で、「中小企業・小規模事業者の窮状、とりわけ困窮している飲食業や宿泊業などの事業者の心が折れ、廃業がさらに増加し、雇用に深刻な影響が出ることを懸念する」と、怒りを滲ませている。

近年の地域最賃全国加重平均額と引上げ率の推移
 では実際の最賃額の近年の推移を見てみると別掲のようになる。2012年12月に第二次安倍内閣が発足以降、翌13年度から最賃額の引上げは上昇傾向を見せ始めたが、それでも時間当たり20円には達していなかった。それが16年度から25円、3%の大台を超えるようになり、以降高いレベルでの引上げが続いた。20年度については予期せぬコロナ禍の影響により最賃は実質据え置かれ、全国加重平均での引上げは1円にとどまった。
 その意味では引き続きコロナ禍の渦中にありながら、前年とは打って変わって安倍政権時代を超える28円の大幅引上げに踏み切ることになったというわけである。コロナ禍の影響という条件は同じながら、一挙に逆方向にかじを切ったことになる。その理由についても公益委員見解に一応示されてはいるが、使用者側委員も不承不承でも納得させるほどの力はなかったようだ。

最賃引上げ論と中小企業淘汰による生産性向上
           〜アトキンソン氏の主張

 一方、コロナ禍の渦中にあっても断固として最賃は引き上げるべきだという主張は労働組合ばかりではない。政府の成長戦略会議の有識者委員を務めるデービッド・アトキンソン氏は東洋経済のインタビューの中で、「先進国の中で日本の最低賃金は韓国にも抜かれて最低水準にある。昨年同様、コロナを理由に引き上げを見送ればさらに国際間の格差は拡大する」と警告している。
 アトキンソン氏は今年もコロナを理由に最賃引上げを見送るようなことをしてはいけない理由を4点ほどあげており、それを簡単に紹介していくと、@コロナ禍の打撃を最も受けたのは飲食・宿泊・娯楽業だが、その就業者数は全労働者の約1割程度にしか過ぎない。残りの9割は最賃を引き上げても問題はないA日本の地域別最賃の引上げは例年10月頃となっていること。ワクチン接種の効果により、経済回復の期待される本年度下半期に合わせ、個人消費をさらに刺激するには本年度の最賃引上げが必要B小規模事業者の労働分配率は高く、最賃引上げに耐えられないというのはまやかし。役員報酬を下げれば良いC地方の小規模事業者は地方創生などのピンポイントの方法で救済すべきであり、全雇用者の最賃引上げを阻害する理由にはならない―といったところだ。
 単純に間違っていると決めつけられない点もあると思うが、一般にアトキンソン氏の持論は「生産性向上を果たせない中小企業はいらない」と理解されているので、その前提に立つ限りなかなか素直に聞く気にはなれないだろう。生産性向上を眼目に、産業間の労働力の移動促進が最終的な狙いだとしたら、そもそも体力のない中小・小規模事業者を淘汰する道具に最低賃金が使われていると解釈せざるを得ないからだ。

最賃決定プロセスは健全か
 立つ位置によって最低賃金引上げに対する考え方はかなり違うものであり、中央最賃審や目安小委において労使間の意見の隔たりが大きいのは当たり前だが、最低賃金法の趣旨に沿って、データや専門的知見に基づいて議論を尽くし、公労使が納得してその年度の最低賃金引上げの目安を決めるというのが本来の姿だ。
 しかし、近年の現実は政府の骨太の方針や成長戦略に最賃の大幅引上げがあらかじめ明記され、審議会の議論もそれによって大枠を既定されてしまっている観がありありだ。ここにも官邸主導の影がちらついており、審議会の決定は政府の決定を正当化するアリバイの役割以上の意味がほとんどない。
 こんな審議のあり方を続けるのであれば、厚労省の官僚が責任をもって官邸に指示された通りの最賃案を作り、中小企業や労働者からの批判を政府が真正面から引き受ければいいのだ。(了)
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No.872 7月26日号  主な内容
■巻頭人物 
:高林 良吉氏(東タク協広報委員長)
■気になる数字
2030年 2050年のカーボンニュートラル実現へ化石燃料車規制〜HV、PHVは?
■トピックス
:地域別最低賃金決定方法はこのままで良いか 〜形骸化する公労使の話し合い
:個タクだけの適正車両数に基づく必要車両数の補充に向けて
     〜全個協が適正車両数明示要望にたどり着くまで…
:「アトキンソン氏、相手にしていない」〜大タ協との意見交換で公明党・北側氏
:規制多いが「おいしい仕事」にも? 〜東京オリ・パラ輸送スタート
:<スポット> 「みなしハイヤー」の運用厳格化 〜感染対策の記録と確認
:75歳以降会員が344人、14%に  〜公明党政策要望懇談会で全大個協会
:IT点呼の可能性に注目 〜東海電子・システムオリジン・工房 Webセミナー
:<スポット> 交通災害遺族会に寄付  〜梅田交通グループ・古知代表
■東西往来
:ダイナミックプライシング=ライドシェア / 営業区域分割の弊害も訴え
■この人この言葉
:野 公秀氏 / 丹 章氏 / 成川 邦彦氏 / 柳瀬 孝幸氏
■シャッターチャンス
:「特需」期待の東京五輪が開幕 / 秘訣は「とにかく走り回る」?
:「公定幅外」で総本山がNG? / まん延「ゼロコロナという病」
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速さ+確かさ
交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関東版
■ 雇調金特例措置、年末まで延長
   最賃大幅引上げで「中小支援」
      経済財政諮問会議で首相表明

【 東京 】政府は21日、首相官邸で経済財政諮問会議(議長=菅義偉首相)の会合を開き、その中で菅首相は、本年度の地域別最低賃金の大幅引上げが実質的に決まったことを受け、中小企業支援策として雇用調整助成金の特例措置を年末まで延長する意向を表明した。これにより、いわゆる業況特例が適用される場合(*生産指標が最近3カ月の月平均で前年または前々年同期比30%以上減少した全国の事業主)で解雇等を行わない場合には1日1人当たり1万5000円、助成率10分の10―となる現行の特例が10月から12月まで適用されることになる。
 菅首相は会議の中で、「今年度の最低賃金は、過去最高となる28円の引上げとなったが、今後、地方における議論を経て10月より実施される。新型コロナの影響が長引く中で、多くの中小企業は厳しい業況の中にあり、売上の減少や、今回の最低賃金の引上げに伴うコスト増を十分に踏まえ、事業の存続と雇用の維持に向け、丁寧に支援していく必要がある」とした上で、「雇用調整助成金の特例的な助成率を年末まで維持する」などの考えを示した。その上で菅氏は「これにより、最低賃金の引上げに向けた環境整備を行い、賃金格差の拡大を是正しながら、賃上げの流れをさらに強固なものにする」と強調した。
 タクシー業界では相対的に市場環境に恵まれた大都市部を中心に、総営収、日車営収とも緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の有無にかかわらず昨今では回復傾向にあった。
 一方で、大手事業者を中心にフル稼働志向も強まっており、地域単位では対前年同月比で総営収が微増傾向が続いている場合でも、日車営収は足踏みから微減に転じるケースも散見されるようになっており、雇調金特例の延長は「干天の慈雨」ではあるものの、来年度以降もこのペースで最賃引上げが続けば、「最賃をクリアするための供給輸送力削減」が地域業界単位での課題として浮上する局面が出るとの見方もできそうだ。

〜「フル稼働か廃業か」の局面も?
 協調的な供給輸送力調整ができず、成り行きに任せた場合、まだ、事業休止を続けている事業者がある一方、フル稼働志向がどんどん強まる事業者もあり、早晩、「フル稼働か廃業か」という二極分化に直面する可能性も指摘される。
〔7月23日号関東版掲載〕  <Topへもどる>

2021年7月23日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】雇調金特例措置、年末まで延長/最賃大幅引上げで「中小支援」/経済財政諮問会議で首相表明
【 横浜 】関東管内の「みなしハイヤー」/16交通圏 3万2512両届出
【 東京 】準特地域の期間限定減車/22年7月末まで再延長
【 東京 】多摩は実働率急上昇で日車営収減/東タク協 6月の原計輸送実績
【 東京 】路上喫煙の苦情多発カ所/東タク協・乗務員指導委が集計
【 東京 】「Canvas」搭載タク配車/S.RIDEで可能に
【 横浜 】コロナ休車4346両/関東管内 復活は5479両
【 横浜 】申請134件、許可57件/関東管内のフードデリ
【 東京 】職域接種も対象に/DiDiのワクチン接種サポート
【 横浜 】15地区中13地区で実働率アップ/関東管内 6月の原計輸送実績
【 東京 】組合員への中元に「エコバッグ」/シンセツタクシー労組
 
2021年7月23日号-2 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】チェッカーは24社・180人派遣/待機場、ホテル等からVIP輸送/オリ・パラ対応のフリート運転者
【 東京 】出会い頭事故 25年までに38件以下に/全個協関東支部・安全対策推進会議
【 横浜 】ポストコロナ見据えて/関運局 中村次長らが抱負
【 横浜 】関内駅周辺の電動カート/神タ協横浜支部 市の説明に異論
【 東京 】コロナ禍で共通チケット周知に遅れ/チェッカー無線 保岡・副理事長
【 東京 】「英語版チラシ」の常備を徹底へ/東タク協 外国関係者乗車時に活用
【 東京 】リフトの自動運転部門買収/トヨタ子会社が完了
【 東京 】「労務管理 一問一答」/東タク協労務委が刊行へ
【 東京 】タク車両に低濃度オゾン発生器/帝都自交Gが順次導入
【 横浜 】中華街で自動運転実証実験/日産 NTTドコモと連携
【 東京 】レクサス系販売店で車検不正
【 東京 】「GO」配車 広島でも開始
【 東京・広島 】「GO」配車 広島でも開始
【 横浜 】その他ハイヤー新規許可
 
2021年7月21日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】感染対策の記録と確認/当該車両のDRサンプル調査も/「みなしハイヤー」の運用厳格化で説明会
【 東京 】公共交通事業者の理解と協力を/国交省「オリ・パラ大会準備本部」
【 東京 】国土交通グリーンチャレンジ/国交省推進本部が初会合
【 東京 】臨時休車縮小で実働率大幅増/東タク協 5月の全社輸送実績
【 東京 】「常盤橋タワー」に専用乗り場/国際自動車が開設、運用開始
【 東京 】「グリスロ」の導入支援で公募
【 東京 】オリ・パラ期間中の交通規制など/東タク協・乗務員指導委で説明
【 東京 】医療・住宅Gと連携サービス/高齢者見守りでキャピタル交通
【 東京 】「75歳問題」と「台数枠」言及なし/国交省「全個協への依頼事項」
【 東京 】都内5地区に担当副委員長など/東タク協・乗務員指導委
【 東京 】コロナ禍で車内常備地図の要件緩和
【 横浜 】お客様からのチップをデジタルで/三和交通、府中エリアでテスト
【 前橋 】ハイタク協議会が定期総会/私鉄総連大会でバス運賃改定も
 
2021年7月17日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】都心部の交通量30%削減/関係者に大会期間中の協力要請/オリ・パラ推進本部会合で首相
【 東京 】コロナ休車の特例措置 年末まで延長
【 東京 】「働きやすい職場認証」21日申請受付
【 東京 】高林委員長「臨機応変の対応を」/東タク協・広報委員会
【 東京 】日暮里営業所と帝都三信交通/帝都自交 無事故連続30日達成
【 東京 】足立、葛飾、江戸川3区でも/ウーバータクシー 都内18区に
【 東京 】法人運転者、再び減少傾向に/多摩地区 6月の運転者証等交付
【 東京 】10月から日交Gの平和自交/栗山委員長「組合は中労協継続」
【 東京 】2種免取得費用助成、7月から募集/東タク協・労務委員会
【 東京 】タク利用の一元管理システム/MoT 法人向けに販売へ
【 東京 】新たに11人、合計902人に/東タクセン外国人旅客接遇英語検定
 
2021年7月17日号-2 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「個タクの台数枠設定」国交省に迫る/平沢会長「期限切って回答させる」/全個協要求に個タク議連
【 東京 】「個人タクシーは必要」と国交省/全個協 第9回定時総会
【 東京 】「28円引上げ」最賃審が答申
【 東京 】五輪関係者輸送の見直し要請/緊急の国交省交渉で自交総連
【 東京 】重傷事故など削減目標は9月下旬/東タク協・交通事故防止委員会
【 東京 】移転後も“ミナコイ”継続を/チェッカー無線の配車専用ダイヤル
【 京都 】京都府初の事業者協力型/大江町で自家用有償旅客運送
【 東京 】デジタルサイネージ優秀賞/タク車窓メディア化「Canvas」
【 東京 】国交省人事(16日付)
 
2021年7月16日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】緊急事態宣言越えて生き延びる/専門委員長留任・委嘱、選挙対応など/全タク連 正副会長会議で川鍋会長
【 東京 】全国一律28円の大幅引上げ/中央最賃審小委が「目安」
【 東京 】「廃業増加」など強い懸念/中小企業3団体がコメント
【 東京 】全国平均61% 前年より改善/全タク連調査 6月の営収19年対比
【 東京 】テーマごとに4検討小委を設置/東タク協環境・車両資材委が初会合
【 東京 】東京オリ・パラ対策特別委を廃止/都個協理事会 所期の目的達成
【 東京 】LPG先物CPも高値
【 東京 】外出支援の「ハンドブック」/全福協、鉄道駅などに37万部配布へ
 
2021年7月14日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 東京 】「みなしハイヤー」見直しを/乗務員、一般客に感染リスク/自交総連 輪関係者輸送のタク流用で声明
【 東京 】東京無線との統合見据えて/チェッカーキャブ協組・藤本理事長
【 東京 】運転経歴年数偽装で除名/日個連事業協組・通常総代会
【 東京・福岡 】自動運転サービス本格導入へ/福岡県みやま市の道の駅拠点
【 静岡 】組織統合後、初の夏季セミナー/全自交労連 全国から140人超
【 神戸 】タブレット端末から配車/デンソーテンが新モデル発売へ
【 大阪 】交通労連 Webで役員セミナー
【 東京 】緊急事態宣言で有効期限延長/自動車登録申請の添付書類
【 東京 】変動運賃制の導入阻止/自交東京が新宿で宣伝行動
【 東京 】アプリ初利用で初乗り10回分無料/DiDiサマーキャンペーン
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交通界ファックスプレス(『交通界21』特別サービス号/ 週3回配信)

 

Faxpress 関西版

 大阪など「台数枠」の恩恵は?
   全大個協会・濱本会長「75歳問題」訴え

【 大阪 】全大阪個人タクシー協会の濱本民夫会長は21日、本紙記者の取材に応じ、全個協総会前日の今月15日、国交省会議室で秋田隆会長らとともに大辻統・旅客課長と面談したことを明かした。組合員の急速な減少に伴い、組織の維持が難しくなってきた大阪はじめ全国の個人団体の実情を伝えつつ、適正車両数を割り込んだ際の新規許可(台数枠の設定および容認)に加え、「75歳以上の譲渡譲受を認めてほしい」と改めて訴えたものの、大辻氏は「死亡後譲渡の申請期限の延長などには触れていたが、75歳以上の譲渡譲受の問題については言葉を濁していた」という。
 濱本氏は、「死亡後譲渡の申請期限延長を検討していただくのも有り難いことだが、大阪はじめ地方にとって、今、最大の課題は、いかにして組合員の減少に歯止めをかけ、組織を維持していくかにある」と強調。面談の際、全個協側に手渡され、21日にも傘下団体に送付された「個人タクシーの諸課題解決策の検討にあたっての全個協の依頼事項」(7項目)の中には、残念ながら、「組織維持の特効薬」として個人側が切望する「台数枠の設定および容認」「75歳以上の譲渡譲受」などに対する設問は見当たらず、濱本会長は「仮に準特定地域における適正車両数を基準に台数枠を認めてもらったところで、現状、その数を割り込んでいるのは東京だけ。その他の地域については、ほとんどがオーバー。調べたところ、大阪にしても、まだ400両から500両多い計算になっている。そんな状況下で台数枠の設定が認められても、大阪などが対象とされることは、おそらくないだろう」と指摘。ハードルは高くとも、引き続き大阪はじめ地方については、組織維持の取り組みとして、「75歳以上の譲渡譲受」と「75歳定年制の見直し」を求めていくべき―とした。
 また同日、東京都千代田区の衆院第二議員会館で自民党個人タクシーを応援する議員連盟の平沢勝栄会長、城内実・事務局長と面談したことも明かし、台数枠については「期限を切って国交省に回答させる」とする「力強い答えをいただいた」と説明。ま城内氏からは「今は通達一本で成り立っている個人タクシーだが、(その存在を)閣議決定すれば、この先もなくなることはない」とする発言も聞かれたとした。
 国交省の面談には、大辻氏のほか、土肥祐二・タクシー事業活性化調整官、村瀬崇史・地域交通対策官が、全個協からは秋田、濱本両氏のほか、丹章、井田健司の両副会長、姉帶裕コ・専務理事が出席した。
〔7月23日号関西版掲載〕 <Topへもどる>

2021年7月23日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】大阪など「台数枠」の恩恵は?/全大個協会・濱本会長「75歳問題」訴え
【 神戸 】地方審の答申待って異議申し出/最賃引上げで兵タ協
【 神戸 】総営収 神戸・阪神間はマイナス/兵タ協6月原計 淡路島はプラス
【 神戸 】兵タクセンの登録費用値上げへ
【 神戸 】兵タ協がインスタスタート/公式アカウント公開
【 大阪 】大タ協、30日に理事会/異例の第5金曜日開催
【 東京 】雇調金特例措置 年末まで延長へ/経済財政諮問会議で方針
【 大阪 】「GO」車載器と無線室連携/全大個協組 年明け目途に実証実験
【 京都 】京タ協 支援要望で副知事と面談
【 大津 】滋賀エムケイ ワクチン接種割引開始
【 大阪 】交友会 29日に総会
【 京都 】8月21日から50%稼働/比叡山観光タク 営業再開
【 和歌山 】和ハ協はマスク用ジップロック配布/両団体2年ぶりタクの日記念行事
【 京都 】自交京都、組織拡大など協議
【 大阪 】ベビーカステラ店が開店/TNKグループ 初日の売上5万円
【 東京 】職域接種も対象に/DiDiのワクチン接種サポート
【 徳島 】日本初「電話で事前確定運賃」/電脳交通が8月オンラインセミナー
【 大阪 】さくらタクシーGが再編計画
 
2021年7月21日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 神戸 】「厳しい状況が続く覚悟で」/兵タ協理事会で吉川会長
【 神戸 】「台数枠設定」個タク議連の対応に期待/兵個協・前野会長「個人側の努力も」
【 京都 】65歳未満、1回目の接種終える/京タ協 8月中旬に2回目完了へ
【 神戸 】法人運転者の23%が70代前半/兵タクセン 6月末の運転者証交付
【 大阪 】「遠割是正でダメージ緩和」/商都交通・三野社長
【 大阪 】意欲喪失「戦力外」乗務員が多発?/「休業慣れ」などコロナ禍の弊害
【 京都 】夏の「リバウンド防止」を徹底/京都市 新型コロナの感染予防
【 岡山・大阪 】岡山でプレミアム付き交通券/ポストコロナの交通支援策
【 大阪 】営業区域の問題点も説明/奈タ協・辻会長が近運局訪問
【 大阪 】兵タ協正副会長らも
【 大阪 】ナニワ交通 21日から営業再開
【 和歌山 】「タクの日」街頭キャンペーン回避/和タ協・サービス向上委
【 京都・名古屋 】ワクチン接種割引/名古屋エムケイがサービス開始
 
2021年7月17日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 京都・札幌 】札幌、滋賀でワクチン接種割引/京都エムケイG/「公定幅外」運賃の京都は?
【 京都 】総営収は19年比65.0%減/京タ協 京都市域の5月輸送実績 
【 神戸 】最賃 目安通りなら「皆お手上げ」
【 大阪 】「GoTo」の早期再開に期待/TNKグループ坂本篤紀代表
【 大阪 】FM802「中島ヒロトショウ」?/大タ協「タクの日」キャンペーン
【 京都 】地域一定枠の新規許可など/京都個タク3団体が公明党に要望
【 大阪 】交通災害遺族会に寄付/梅田交通G・古知代表
【 京都 】京都府初の事業者協力型/大江町で自家用有償旅客運送
【 神戸 】飲食店への時短要請で需要戻らず/神戸市域西部 朝・昼は回復基調も
【 大阪 】坂本克己会長を再任/自動車交通事故防止実行会
【 大阪 】大タクセンがオンライン英語講座
【 神戸 】キクヤ交通 大久保会長の退任届
 
2021年7月16日号 関西版 ニュースヘッドライン
【 大阪 】「タクシー排除」には問題意識?/近運局 柳瀬・自交部長就任会見
【 東京 】全国一律28円の大幅引上げ/中央最賃審小委が「目安」
【 大阪・京都ほか 】大阪992円、京都937円?/タク事業者は悲鳴と憤り
【 大阪 】近畿管内のフードデリ 許可は36社
【 大阪 】「フェーズ2」実施と区域拡大説明/大阪メトロが大タ協訪問
【 大阪 】安易な乗り場拡大にはくぎ/オンデマンドバス 全大個にも説明
【 大阪 】タクセンのポーター廃止案/大タ協が容認へ
【 大阪 】北新地の街頭指導中止
【 京都 】整骨治療対応などで注意喚起/渉外担当連絡会・定例会
【 大阪 】インボイス制度の問題点など/全大個協組 総務委で洗い出し
【 大阪 】インボイス参加が現実的/北大阪個人・境野会長
【 京都 】全京「育成学校」40人で開講/11月の譲渡譲受試験に向けて
【 京都 】「DR搭載」シールで事故・犯罪抑止/京都府警城陽署 洛南タクなど協力
【 訃報 】全自交大阪地連委員長が急死 65歳
 
2021年7月14日号 関東版 ニュースヘッドライン
【 奈良 】奈良の運賃改定要請、7割突破/普通車一本化、初乗り1.3キロ? 1.5キロ?
【 奈良 】初乗り距離と増収率に注目/奈タ協・辻会長「第一関門突破」
【 大阪 】最賃据え置きで意見書提出へ/大タ協労務委 委員長に森氏
【 神戸 】SNS発信「タクの日」以降も/兵サセン委 継続して取り組み
【 神戸 】新規増も減少基調変わらず/兵タクセン 6月の運転者証交付
【 大阪 】国への要望案で意見交換/タクシー問題を考える会
【 大阪 】タクシー券付プレミアム商品券/箕面市が予約受付
【 神戸 】国・県への支援要望/公明党県本部との懇談会で兵タ協
【 京都 】地方創生臨時交付金の活用要望/京タ協 副知事と面談へ
【 大阪 】稼働落ちても悪貨は排除を/乗務員採用改める契機に
【 神戸 】兵協 大バスとチケット提携
【 大阪 】交通労連 Webで役員セミナー
【 神戸 】タブレット端末から配車/デンソーテンが新モデル発売へ
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