【 大阪 】日本交通グループ関西（東京・日本交通、さくらタクシーグループ、ともに金田隆司代表、本部・大阪市福島区）は10日、大タ協副会長会社で、1951年創業の老舗、ナショナルタクシー（照屋貞夫社長、大阪市城東区、181両）の全株式を取得し、事業運営を引継いだと発表した。これで同グループの大阪府内での保有車両数は744両、近畿管内（大阪府、兵庫県）では846両となった。
　同グループの親会社・日本交通（若林泰治社長、東京都千代田区）の同日付プレスリリースによると、同社は2014年３月に東京・日本交通を設立して以来、「日本交通グループ関西」として、大阪府を中心とするエリアにおいて、高品質なタクシーサービスを展開してきた。今後「日本交通とナショナルタクシーは『お客様に選んでいただけるタクシー』を目指す（互いの）企業風土を融合し、日本交通グループとして一体化することで、一層快適な移動空間を提供して、タクシー業界全体の発展につなげていく」としている。
　ナショナルタクシーは、大阪で70年の歴史を持つ老舗の中堅事業者。流し営業のみならず、病院などでの客待ち待機、24時間開設の無線事業を展開するなど、堅実な経営手法に対する業界内での評価も高く、同社専務で照屋社長の実弟である勝晴氏は、大タ協の現職副会長のほか、関協（古知愛一郎理事長）、大阪タクシー交友会協組（齋藤憲司理事長）、大協（三野文男理事長）と並ぶ大阪の４大協組の一角「大阪タクシー親交会」の会長でもあるだけに、今回の買収劇に色めき立ち、少なからず動揺する事業者も少なくない。
　一方で、新型コロナワクチン接種は進むものの、未だ落ち着く先も見えないコロナ禍の中、「もはや何があっても不思議でないし、驚きもしない」とする事業者の声も一部で聞かれた。
　同日午後、本紙記者の取材に応じた日本交通グループ関西の金田代表は、東京・日本交通「京都営業所」（広島県福山市のアサヒタクシーが事業継承）の事業譲渡から間髪入れずのこの全株取得について、「ご縁があったとしか言いようがない」とコメント。照屋社長、同専務らの役員退任届は「本日、午前に提出いただいた」とし、今後、役員は東京・日交側と入れ替わるものの、現場を預かる管理者や乗務員については、「従来通り、お願いしようと思っている」と語った。この日の夕刻に組合と管理職にあいさつ、翌11日に乗務員への説明会を開くとした。

〜社名・行灯は当面変更なく
　「桜にＮ」の同グループのアンドンへの変更などについては、「将来的にどこかのタイミングで変えるかもしれないが、（突然）変えてお客様が混乱しても困るし、乗務員や労組の意見も聞かないといけない」と述べ、当分の間、対外的なイメージの変更もないとした。
今回の株式譲渡に伴い、両社の代表は大タ協会長会社である日本タクシー（坂本栄二社長、大阪市旭区）を訪問。９日には照屋専務（大タ協副会長）が、また翌10日には金田代表（大タ協理事）が足を運び、坂本会長にそれぞれあいさつしたという。
営業権譲渡会社の概要および代表者の変更は次の通り。
▽（商号）ナショナルタクシー、（設立）1951年（昭和26年）12月、（事業内容）タクシー事業、（本店所在地）大阪市城東区成育2ノ8ノ3、(営業所所在地) 大阪市城東区成育2ノ8ノ3、大阪市鶴見区放出東3ノ36ノ6、（車両数）タクシー181両（本社営業所140両、放出営業所41両）〈代表者の変更〉21年9月10日付）▽（代表取締役会長）林紀孝、（代表取締役社長）金田隆司。
〔9月11日号関西版掲載〕　<Topへもどる>